10月20日(金)、映画『愚鈍の微笑み』公開に伴い、シモキタ - エキマエ - シネマ K2にて、上映後に出演者による初日舞台挨拶を実施。トリプル主演を務めた田辺桃子、小出薫、森田想、そして監督の宇賀那健一が登壇した。
同作は森の中に集まった気のおけない友人である女性3人が、とりとめのない会話をしながら何気ない日常をすごすさまと、その背景にある、静かににじり寄る戦火を幻想的に描いていている。
一言ずつ挨拶後、まずは現場で印象に残っているエピソードについてのクロストークからスタート。主演の一人である田辺は撮影シーンについて「撮影期間が二日間しかなく、衣装合わせもぎりぎりで。(森田)想と小出さんは以前共演したことがあったのでそこは心配なかったのですが、長いシーンに加えてかけあいも多くて、最初はどうなることかとドキドキしました」と言及。森田も不安があったそうで「会話のテンポが大切な場面がばかりだったのに、本読みを一切やらなかったのでどうなることかと思いました」と、当時の心境を吐露した。これには田辺も共感したようで「最初会話のシーンは全然噛み合わなくて、スタッフさんの中には『これから二日間大丈夫かな』と思わせてしまったと思います(笑)」と、当時のリアルな気持ちを口にした。このシーンについては、宇賀那監督も噛み合わなかったことが意外に思ったようで「信頼している役者さんばかりだったので僕自身、ちょっと丸投げがすぎたかなと……(笑)。でも噛み合わなかったのは最初だけで、あとは完璧でした」と褒め称えていた。
劇中では主人公三人の最後の晩餐としてバーベキューやハンバーガーが登場する。これに絡めて、登壇者に最後の晩餐で食べたいものを訊いてみることに。田辺が夏野菜、森田が白米で、その中でも『青天の霹靂』と銘柄まで指定するほどこだわりを見せるなか、劇中でビールをがぶ飲みしていた小出は、役柄と同じく「ジョッキでも缶でも、とにかくビールがあれば何もいらないです(笑)」とひとこと。この言葉に会場からも笑いが起こった。追加質問で「では(飲み物ではなく)食べ物では?」という質問に対し「ビールに合うもので(笑)」と譲らず、ここでも会場を盛り上げていた。
フォトセッションのあと、一人ひとりが作品に対する想いを話す時間になり、宇賀那監督は「最近は不条理なものを核にした作品を撮ることが多いなか、ロシアとウクライナで戦争が起きた。そのときに自分たちに火の粉がふりかかる可能性があることに気づきました。いまの自分たちにできることは何かと改めて考えたときに作品を撮ることだと思いたち、製作に入りました」と、本作を撮った経緯を振り返る。続けて「こういう時代だからこそ見ていただきたいですし、同時に撮らなきゃいけない作品だったと思います」と伝えた。そしてメッセージとして「本作は大自然の中で撮影し、序盤には美しい鳥のさえずりや川のせせらぎ、木々の揺れ動く音など、自然の情景が鮮明に切り取られています。これは映画館でしか体感できない音であり、映像となっていますので、そういった意味でも、ぜひ映画館へ足を運んでいただきたいです」という言葉を残し、舞台挨拶はあたたかな空気の中、幕をおろした。
映画「愚鈍の微笑み」は、下北沢・シモキタ・エキマエ・シネマ K2ほか、順次全国劇場公開。
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