2016年にリリースされた1stソロアルバム「Rainbow」から10年。自身の33歳の誕生日に行われた初の日本武道館公演で山本彩は、10周年の集大成、そして、この先のさらなる飛躍を予感させる圧巻のステージを繰り広げた。

開演直前のBGMは山本が敬愛するMONOEYESのナンバー。客席の照明が消え、スクリーンに投影されたのは、日本武道館ライブに向けたリハーサル風景だ。武道館ライブを発表した瞬間、スタッフとの打ち合わせなどがモノクロの映像で映し出され、記念すべきステージへの期待が高まっていく。ギターを持った山本彩が武道館に向かう場面で映像がカラーになり、オープニングムービーは終了。舞台に目をやると、ステージ上段にギターを持った山本の姿が。凄まじい歓声が響き渡るなか、1曲目の「Bring it on」でライブは幕を開けた。レスポールをかき鳴らし、「全員、飛ばしていくぞ!」というシャウトとともに始まったこの曲は、〈不可能なんてない/ここはそう私の独壇場〉というフレーズが印象的なロックナンバー。ダイナミックなバンドサウンド、凛とした強さを感じさせるボーカル、ステージから立ち上る炎が一つになった最高のスタートだ。
さらに「木天蓼」「TRUE BLUE」とアッパーチューンを連発。観客はこぶしを突き上げ、声を張り上げる。そこから伝わってきたのは10年という時間のなかで築き上げたオーディエンスとの絆。力強さと繊細さを併せ持った山本のボーカルを支えるバンドメンバーの演奏も素晴らしい。
鳴り止まない拍手と歓声を浴び、会場を見渡す山本彩。「みんな、元気すぎる!」と呼びかける彼女はもちろん満面の笑顔だ。
「想像をはるかに超えるみんなの声がめちゃくちゃ届いています! 私、今日のライブでどうなってもいいと思ってるんですけど、みんなは大丈夫ですか?! 全員で騒いで、全員でシンガロングして。最高の1日にしましょう!」
気持ちの入ったMCの後は、「KIRAKUモンスター」。山本はセルフィ―で自分と客席を映しながらステージの端から端まで動き、観客とコミュニケーションを取る。最後はセンターステージに移動し、心地いい一体感を演出。〈M・Y・P・A・C・E〉〈マイペース!〉のコール&レスポンスも楽しい。ここで披露されたのは新曲「ラスベリーサマー」。夏のときめきと甘酸っぱい恋をテーマにしたポップチューンが広がり、オーディエンスはタオルを回して盛り上がった。続いては「刹夏」。過ぎていく夏への思いを歌い上げ、会場全体は叙情的な雰囲気に包み込まれた。
「unreachable」からはダンスを交えたステージへ。モノトーンの衣装に着替えた山本はダンサーとともに大人な雰囲気のボーカルと振付を披露していく。「feel the night」では特徴的なアイウェアを付け、都会の夜景をモチーフにした映像をバックにどこか官能的なイメージを表現。エキゾチックな雰囲気の「Nocturnal」を含め、彼女のエンターテイナーとしての資質をたっぷりと堪能できた。
ここで時計の針の音とともにスクリーンに映されたのは、これまでのキャリアを振り返る映像だった。中学生のときに組んだバンド時代、NMB48オープニングメンバーのオーディション、グループ在籍時のライブシーン、1stアルバム「Rainbow」のリリース、NMB48からの卒業、自らの手で髪を切り、ソロライブツアー「I‘m ready」へ挑んだ時期、フェスへの出演――。山本彩の軌跡を追体験できるムービーに導かれたのは、「365日の紙飛行機」。AKB48のセンターとして歌唱した記念碑的な楽曲を美しく描き出し、武道館全体が大きな感動で包まれていく。続いては「イチリンソウ」。NMB48卒業後、ソロ活動を本格的に開始した彼女の最初のシングルをしっかりと丁寧に紡ぎ出す山本。シンガーソングライターとしての原点とも言える楽曲を真っ直ぐに届けるシーンは、この日のライブの最初のハイライトだったと思う。
新曲「バタフライエフェクト」も心に残った。バタフライエフェクトとは“わずか出来事や選択が予想を超えた変化や結果をもたらす現象”という意味。この曲に込められたものは間違いなく、小さなこと、些細なことを積み重ねながら武道館へたどり着いた彼女の道のりと重なっていた。
「誕生日おめでとう!」という観客の声に応え、「ありがとうございます! 33歳になりました」と感謝を伝える山本。武道館が決まったときのことを振り返り、「誕生日に武道館って盛り込みすぎだろう!と思ったりしたけど(笑)、今は本当に良かったなと思っています」と語ると、会場から温かい拍手が送られた。
「夢の声」「ブルースター」はアコースティック・アレンジで披露。そして「曲を作ってるときは“誰かのためになるといいな”と思ってるんですけど、時間が経つにつれて、“自分が言ってほしかった言葉だったのかも”と思うことがあります」という言葉とともに歌われたのは「サードマン」だった。〈ずっと そうずっと/君は君でいて 変わらなくていいから〉というアカペラから始まり、一つ一つのフレーズを手渡すように歌う彼女の姿からは、シンガーとしての誠実さを強く感じることができた。
スポーティーな衣装に着替え、「まだまだイケますか!?」という煽りから始まった「JOKER」でライブは後半へ。アコギをかき鳴らした「喝采」では炎とレーザーによる演出が施され、〈愛したい 愛せない〉というラインを突き刺した「劣等感」で会場のテンションは一気に最高潮に達した。観客がタオルをぶん回した「Let’s go crazy」で興奮度をさらに引き上げ、ラストの「Are you ready?」へ。「みんなありがとう! 最高以外、言いようがないです。本当にありがとうございました!」というシャウトで本編はエンディングを迎えた。
鳴り止まない歓声を受け、山本彩、バンドメンバーが再びステージへ。「アンコールありがとうございます! すごいね。みんな声がめちゃくちゃ入ってきて……」と話し始めた瞬間、バンドメンバーが「Happy Birthday to You」を演奏し“お誕生日おめでとう”モードへ。メンバー、スタッフからケーキ、33本のレインボーローズ(虹色のバラ)、寄せ書きがプレゼントされ、「ありがとうございます。あまりにも幸せだと言葉にならないんですね」と涙ぐむ。
ここで山本は、ゆっくりと観客に語り掛けた。
武道館が決まってからの1年間、不安と喜びが入り混じった日々を過ごしてきたこと。それを乗り越えてステージに立てていることに喜びを感じていることーー。
「10年前は孤独と淋しさを感じてたんですけど、10年経って、思います。一人じゃないなって。バンドメンバーという仲間ができて、未来を話し合えるスタッフさんがいて、ライブに駆けつけて、愛や熱意を向けてくれるみんながいて。これからも一生、心の支えでいてほしいなと思います。もちろん、私もみんなにとってそういう存在でありたいなと思います」
「これからもともに泣いて、ともに笑って、ともに生きていきましょう」という言葉に導かれたアンコール1曲目は「共鳴」。最後のサビでは観客のシンガロングが響き渡り、ステージと客席の距離がさらに近くなっていく。ラストは、1stアルバム「Rainbow」に収録された「レインボーローズ」。“無限の可能性”を高らかに歌い上げたこの曲は、10年経った現在も彼女の指針であり、この先の未来を鮮やかに照らし出していた。
ライブ終了後、この秋にリリースされるニューアルバム、2027年1月にスタートする全国ツアー【SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"】の開催を告知された。最後に映し出されたのは「今日までついて来てくれたあなた、ありがとう。山本彩の旅はまだまだ続きます。これからもよろしくね。」という手書きのメッセージ。10周年を記念した初の武道館公演をやり遂げた山本彩の視線は、既に次に向けられている。これから彼女はどんな音楽を生み出し、どんなステージを見せてくれるのか。そんな期待感を抱かせてくれたことが、武道館ライブの最大の成果だったのだと思う。
文:半田安政
撮影:森朋之









▼セットリスト
01.Bring it on
02.木天蓼
03.TRUE BLUE
04.KIRAKUモンスター
05.ラズベリーサマー
06.刹夏
07.Unreachable
08.Feel the night
09.Nocturnal
10.365日の紙飛行機
11.イチリンソウ
12.バタフライエフェクト
13.夢の声
14.ブルースター
15.サードマン
16.JOKER
17.喝采
18.劣等感
19.Let’s go crazy
20.Are you ready?
EN1.共鳴
EN2.レインボーローズ
▼Release
配信『ラズベリーサマー』(7月14日リリース)
<Streaming&Download>
https://SayakaYamamoto.lnk.to/Raspberrysummer
▼Live情報
山本彩 LIVE at 武道館
https://yamamotosayaka.jp/feature/live_at_budokan
2026年7月14日(火)
東京・日本武道館
開場 17:30 / 開演 18:30
▼TOUR情報
SAYAKA YAMAMOTO LIVE TOUR "NARRATIVE"
https://yamamotosayaka.jp/news/detail/2958
<スケジュール>
2027年1月14日(木)
埼玉・ヘブンズロックさいたま新都心
開場 18:30 / 開演 19:00
2027年1月16日(土)
宮城・darwin
開場 17:00 / 開演 17:30
2027年1月23日(土)
広島・VANQUISH
開場 18:15 / 開演 19:00
2027年1月28日(木)
大阪・BIGCAT
開場 18:15 / 開演 19:00
2027年2月5日(金)
愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO
開場 18:15 / 開演 19:00
2027年2月6日(土)
福岡・DRUM Be-1
開場 17:00 / 開演 17:30
2027年2月10日(水)
東京・Zepp Diver City Tokyo
開場 18:00 / 開演 19:00
◆チケット(税込)
7,150円(税込)
※東京のみ:2階指定席 8,800円(税込)
※ドリンク代別
●山本彩 LINK
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