ポップしなないで、過去最大キャパを埋める渋谷クアトロワンマンでファンも驚く「最悪のメジャーデビュー発表」来年には全国ツアーも決定 #ポップしなないでキテる - 日刊エンタメクリップ

ポップしなないで、過去最大キャパを埋める渋谷クアトロワンマンでファンも驚く「最悪のメジャーデビュー発表」来年には全国ツアーも決定 #ポップしなないでキテる

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ポップしなないで、過去最大キャパを埋める渋谷クアトロワンマンでファンも驚く「最悪のメジャーデビュー発表」来年には全国ツアーも決定 #ポップしなないでキテる

photo by 小坂茂雄

ポップしなないでのワンマンライブは、3月に行った恵比寿リキッドルームでの前ツアーファイナル以来となる約半年ぶり。半年間様々な活躍を経たポップしなないでが、渋谷クラブクアトロにてワンマンライブを開催し、その成長を見せつけた。

サポートメンバーミツビシテツロウのきっかけで、かめがいの声を加工した緊張感のある無機質なSEが流れ始めると、4つ打ちに合わせて出てくるのは同じくサポートメンバーの山内かなえ、カワノアキ。そして暗闇にフラッシュが眩しく光る中、ポップしなないでのかめがいあやこ、かわむらが登場し、会場は期待感の拍手と歓声で出迎えた。

SEから流れるように始まるのはキャッチーなキラーチューン、「UFOを呼ぶダンス」。自然と観客の手も上がり、早くも会場は熱気にあふれた。その後荘厳なコーラスからグルーヴィな演奏に乗せて、諦めに似た希望を歌う音源未発表曲「どうすんの?」にて、ポップしなないでがバンドサウンドを確立させたことが伺え、今までより一つ上のフェーズに突入したことを感じさせた。

「ようこそ渋谷クラブクアトロへ!ポップしなないでだ!」とかめがいのMCから、NHK「みんなのうた」の2022年6-7月の新曲「月の踊り子」が始まり、夢見心地なリズムを楽しむと、何処かの駅前の雑踏に合わせかめがいが「次は地獄〜、地獄快速〜」とアナウンスを行い、演奏された新曲「地獄快速」。日常を積み重ねる焦燥を歌った歌詞と、少しのんびりとした曲調のギャップが彼ららしい1曲だった。その後かわむらの切り裂くような8ビートから一気にバンドインし、収束するとともに「支離滅裂に愛し愛されようじゃないか」のイントロが始まる。満を辞したライブでの代表曲に、会場の熱気が一気に高まった時間となり、観客もリズムに合わせ自然とクラップをしていた。

MCではサポートメンバーが一旦退場し、クアトロ特有の柱に言及しつつ、観客に隅々まで目をくばり挨拶をしたかめがい。いつもの彼ららしいゆるい空気が充満する。それもワンマンならではの魅力だが、その空気も冷めやらぬ中、ここからは2人編成での演奏だ。青と赤の照明が交差し、2人をそれぞれに照らしだした「Creation」、優しい緑やイエローといった照明がステージをゆらゆらと照らす「魔法使いのマキちゃん」と、彼らの世界観や人生観を表す定番曲を畳みかけていった。音楽や人生を続けることを歌った「SG」のかめがいのエモーショナルな歌声で、ピンスポットのみが2人を印象的に照らし、会場では涙ぐむ人も見られた。

MCでは「クアトロワンマンをこんなにパンパンの形で迎えられて嬉しいです」と今日という日を楽しみにしてくれたであろうファンに感謝を述べた。その後、楽屋トークようなゆるい話を交え会場を和ませたあと、「私たちはそんなことを話しに来たわけではなく、あなたたちを救いに来たんですよ」と話すとともに屈指の人気曲「救われ升」が駆け抜けるように展開される。割れんばかりのクラップで観客のテンションが上がっていくのが感じられ、サビではみな拳を突き上げた。その後赤紫の少し妖しさを感じる照明に包まれ「Sunset」がスタートし、かめがいの伸びやかな中にも力強さを感じる歌声でステージからは目が離せなくなり、大サビでは赤く激しく光るライトが曲と相まって、この日のクライマックスとも言えるような瞬間を迎えた。

その後かわむらはMCで「セカイ系、と標榜して音楽をやってきたが、セカイ系とはとても自分勝手な物語であり、それで良いのかと自問自答する時期もあった。だけど結局みんな、我々も含めてそんな余裕はなくて、もちろん視野を広げる努力は必要だけどきっと自分たちの世界を大切にしていくこと、その背中を押すことが自分たちの音楽だと思った。そんなタイミングでTVアニメのEDテーマのお話をいただきました。テレビで見ても、そういうメッセージが伝わっていると感じています。ではそんな曲を」とこの日初披露となる「ローリンソウル・ハッピーデイズ」が始まり、「え?」のところではかめがいにうまくピンスポットがあたったり、回転するライトが疾走感を感じさせ、明るい曲調の中で鬼気迫るバンド陣の演奏と突き抜けるかめがいのラップと歌が会場を沸かせた。

歓声が止まぬ中「初夏それから」が爽やかに吹き抜け、その後かめがいがピアノを弾きながら「音楽にどんなちからがあるか私にはわからないけど、ポップしなないでの音楽はみんなの心にどこか触れることができるのではないかと信じています。今日この時間、こんなたくさんの人と過ごせて、あなたの心に少しは触れられたんじゃないかと思うし、そうであったらいいなと願っています。」と語り、本編最後となる「夢見る熱帯夜」で、季節外れの胸高鳴る夜を歌い、この日にふさわしいエンディングとなった。

アンコールで登場した2人はどこか表情も暗く、かめがいがポツリポツリと「どうしても今日は来てもらいたいと思ってました、みんなの目をみてお伝えしたいことがありまして。」と話し始め、「お客さんが一人しかいないライブもありました。でもCDを出させてもらったり、MVを撮ってもらったり、何かのきっかけでみなさんにお会いすることができて、今日こんなにたくさんの人が時間を使って会いに来てくれて。なので今日はなるべく一人でも多くの人にお会いして伝えたいなと思ってたんですが、私たち、ポップしなないでは・・・来年の2023年2月22日をもちまして・・・日本コロムビアより、メジャーデビューします!!!」とヒヤヒヤするようなドッキリスタイルの報告で、ステージの上を走り回り喜びを表すかめがいとかわむら。観客もそれに負けじと大きな拍手で祝福してくれた。かめがいの迫真の演技に、涙を流したファンもいたが、その後の朗報で救われただろう。

リリースするのはフルアルバムで、アルバムタイトルは「戦略的生存」。彼ららしいどこか人を食ったような、覚悟が詰まったアルバムのリリースを楽しみにしよう。

アンコールの演奏は「言うとおり、神さま」、「丑三キャットウォーク」と初期から演奏されている曲たちで、演奏にも円熟味が増しながらメジャーデビューということで気迫の入ったものだった。観客も手を上げ、クラップをし、もうすぐ終わってしまうこの空間を噛み締めているようだった。

2曲を終えてアンコールが止まず、再度出てきた2人は「このタイミングだから大切な曲をやって終わろうと思います」と最初期の曲「エレ樫」を久々に披露。思いのこもった演奏を終え、ステージを後にした。

これからのCDリリース、全国ツアー、そして恵比寿リキッドルームでのツアーファイナルが楽しみとなる、彼らの底知れない音楽性を存分に楽しめる1日となった。

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photo by 小坂茂雄

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