15人の仮想少女からなる『十五少女』が、1st E.P.「HATED」全曲(ボーナストラックを除く)の22分28分に及ぶミュージック・ビデオを発表した。
元々、音源でも曲間はサウンドスケープ(環境音)によって埋められ、まるで一本の映画のように無音部分のないノンストップ・ミックスとなっていた。その音楽体験を映像でも味わってもらうために、本作はワンカットで構成され、約23分間一切カットは入らない。
彼女たちが生まれ育った(仮想の)町『カグツチ市』の定点カメラが捉えた夜明け前=未明の様子が、淡々と描かれており、フォーカスもピントも合わせず、白昼夢のような視聴体験が味わえる。その中で感じられるのは、ありきたりに見えて非常にあふれた日常のブルー(憂鬱)の再確認だ。
十五少女 / HATED - Nonstop Mix Video(YouTube Link):
ビジュアライズを手掛けたのは、サイバーパンクという世界的なリバイバル・ムーヴメントをキュレーションし話題を呼んだ「昭和百年展」でもコラボし、その一躍を担った日英タッグ「ゆうたONE」×「Max Prentis」。
ジャパニメーションからも多大な影響を受けたというUK在住のMaxが描く違和感とリアリティの入り混じった “目覚める直前特有の街の情景” に、超緻密なデザインで知られるゆうたONEによる “あえて普段見かける警告を表示させたホログラム看板” の浮遊感が相まり、既視感などあるはずもないのにデジャヴのような独特な映像に仕上がっている。
十五少女が歌うのは、大仰なメッセージでも理想的な愛でもない。多様な時代を多感に生きる人々が日々感じる「言い様のない不安」や「行き場のない焦燥」など、その月並みな日常の非常に寄り添った些細な大事(オオゴト)だ。