6月27日(土)、映画『ひとりたび』の公開初日舞台挨拶が開催され、主演の岡本玲さんをはじめ、長村航希さん、岩田奏さん、石山愛琉さん、そして石橋夕帆監督が登壇しました。

本作は、人生に行き詰まった30代の女性が、初恋の記憶を頼りに自分を見つめ直す姿を描いた物語です。悪天候にもかかわらず劇場に駆けつけた観客に向け、登壇者たちは約3年前に行われた和歌山などでの撮影を回顧。完成した作品への熱い思いや、印象に残るシーンの裏話などが次々と語られ、ついに公開初日を迎えた喜びを分かち合う充実したイベントとなりました。
公開の喜びに沸くキャスト陣

舞台挨拶の冒頭、石橋監督は「天候も不安定な中、貴重なお時間をいただきありがとうございます」と観客へ感謝を述べました。
続いて岡本さんが「撮影は約3年前でした。ようやく皆さんに見ていただけてすごく嬉しいです」と喜びを露わにし、長村さんも「雨の中ありがとうございます」と挨拶。また、中学時代の圭一役を演じた岩田さんは「3年前だったんで、今高校3年生になってだいぶ変わっちゃったんですけど」と笑顔を見せ、15歳の美咲を演じた石山さんも「無事に公開初日を迎えられてとても嬉しく思います」と語り、それぞれ初日を迎えた喜びを表現しました。
完成作品への思い「心のロードムービー」

完成した作品について、岡本さんは「シンプルにすごく好きな映画になりました。撮影当時と今で作品との距離感がかなり変わっていて、美咲を通して自分も心のロードムービーというか、成長をしたんだなと思っています」と感慨深く語りました。

長村さんも「僕も本当に好きな映画になって。過去パートしか現場で見ていなかったので、作品を見た時はすごく嬉しかったです」と振り返り、「中学生のあの感じはあの時じゃないと出せなかった」と懐かしむ場面も。石山さんは「待ちに待ったという感じ。日常の自然な会話がとても際立つ作品で、とても懐かしい気持ちになりながら見れました」と感想を述べました。
こだわりのシーンと撮影裏話
役作りの苦労と驚きの裏話

印象に残っているシーンとして、岡本さんは道で浩輔の腕を掴み寄りかかる場面を挙げ、「自分自身の仕草がずるい女だと思っていて、心と頭と体は別物だと監督と話し合いました」と役作りの苦労を明かしました。これに対し長村さんは「自分の役がチャラいやつに見えないよう、ピュアに見えるように意識しました。車の中のシーンは楽しくて、人の話を聞いて最後泣けてくるということがやりながら分かりました」と回顧。石橋監督も「浩輔の涙がいい意味でずるくて憎めない。車の中の空気感も一発OKでした」と絶賛しました。
さらに、雨の中の電話シーンについて岡本さんが「リアルに電話してきてくれたのが重要だった」と明かすと、長村さんは「和歌山にいなくて、東京の引っ越したてのダンボールの山の中で立て膝をついて電話していました」と驚きの裏話を披露し、会場を沸かせました。
時代を感じさせる中学時代のエピソード

中学時代のシーンでは、「キスしてもいい?」というセリフが話題に。岩田さんが「なんで言うのか意味が分からなくて、言っている本人も分かっていないんだろうなと当時も思っていました」と語ると、石山さんも「曖昧な関係の中で急な言葉だったので、つい反射で笑いが出てしまいました」と振り返りました。これについて石橋監督は「会話に一区切り欲しくて、絶対間違えているタイミングで言うのがいいと思った」と演出の意図を明かしました。

さらに、岩田さんと石山さんがガラケーの文字を打つ練習をしたことや、MDを耳にかけるのに苦労したといった、時代を感じさせるエピソードでも大いに盛り上がりました。
それぞれのお気に入りシーン

長村さんは冒頭の自転車のシーンを挙げ「映画のリズムが分かるし綺麗だった」と絶賛。岩田さんは「35回くらい走りました。天気が良くて空気が澄んでいて気持ちよかったです」と笑顔を見せました。
岡本さんは「家族でお寿司を食べる長回しのシーンが好き。遠慮せずに食べている感じがリアルでいいなと」と語り、岩田さんも「お寿司を食べている音がでかいのがいい」と同調。石山さんは、図書館で初めて圭一に話しかける初々しいシーンを挙げました。石橋監督は、図書館のシーンに台風を絡めたのは脚本の上村奈帆さんの提案であり、自身の思い出とも重なると語りました。
観客へ向けたメッセージ
最後に、観客に向けてそれぞれが温かいメッセージを送りました。
石山さんは「見終わった後、それぞれ感じ方が違うのかなと思います。これからの生活の中で『ひとりたび』が少しでも心に残ってくれれば」と語り、岩田さんは「昔の思い出を大事にしてもいいんだよ、というメッセージが込められている作品」とアピール。長村さんは「誰かを思うことで自分も一歩進めるという内容。子供の頃のような素直な気持ちになれました」と呼びかけました。
岡本さんは「約5年前に企画をいただき、監督から『主演で撮りたい』と言われ、絶対実現させたいと動いてきました。それぞれの人生の生き方や歩むスピードを大きく包んでくれるような映画になったと思います」と万感の思いを込めました。
最後に石橋監督が「大人になると案外自分を大切にできなくなる。苦しいことや大切にしたいことを考え続けてしまって悪いことではないと思っています。皆さんが抱えているものと向き合う時間に、この映画が何か繋がるものがあったら嬉しいです」と締めくくり、温かい拍手の中で初日舞台挨拶は幕を閉じました。






映画『ひとりたび』作品概要
仕事に恋愛、人生に行き詰まった30代の女性が学生時代に経験した「初恋」 の記憶を頼りに、自分の人生を見つめ直す姿を描いた映画『ひとりたび』。 主演は、2003年にモデルとしてキャリアをスタートさせ、主演作『茶飲友達』(23/外山文治監督)ほか、ドラマ・映画・CM・舞台など多方面で活躍を広げる岡本玲。主人公と同年齢の役柄を等身大で演じている。監督は、初⻑編『左様なら』が全国 20 館以上で公開され、続く⻑編 2 作目となる『朝がくるとむなしくなる』では第 18 回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門「JAPAN CUTS AWARD」を受賞、台湾・韓国で劇場公開され現在フランスにて80館で公開中の石橋夕帆。そして脚本に、『市子』(23/戸田彬弘監督)、自身で監督と脚本を務めた『三日月とネコ』(24)、『ザッケン』(26)などで注目を浴びる上村奈帆が参加。また、本作は2024年の釜山国際映画祭ジソク部門に正式出品された。生まれが91年の岡本、90年の石橋、88年の上村という主人公と同世代の3名によって、30代女性が抱える将来への不安と過去の思い出との邂逅を繊細に紡がれていく。
岡本 玲
長村航希 坂ノ上 茜 岩田 奏 石山愛琉
日高七海 里内伽奈 中山求一郎 長友郁真 / 濱田マリ 原 日出子 平田 満
監督:石橋夕帆 脚本:上村奈帆
撮影:関 瑠惟 照明:中田祐介 録音:坂元 就 美術:畠 智哉
スタイリスト:小宮山芽以 ヘアメイク:安藤メイ 助監督:中村幸貴 制作担当:小元咲貴子
編集:小笠原 風 音楽:山城ショウゴ スチール:松井綾音・おにまるさきほ
ビジュアルデザイン:東 かほり 宣伝:五味聖子
プロデューサー:田中佐知彦
主題歌:ん・フェニ「おもうたび」 作詞・作曲:ん・フェニ(ビクターエンタテインメント/CONNECTUNE)
配給:MomentumLabo. 製作:Ippo
2024年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/94分 ©Ippo
