二次元キャラクタープロジェクト『カリスマ』が2ndアルバム「カリスマジャンボリー」を引っ提げた初のライブツアー、『カリスマジャンボリーツアー』を開催した。
『カリスマ』は、YouTube「カリスマofficial Channel」で配信中のボイスドラマを中心に展開するプロジェクト。ドラマでは主に、“七人のカリスマ”による非凡すぎる日常生活を描いていて、現在は2ndシーズン最終話まで配信済み。1stシーズンと合わせると、約14時間にも及ぶ膨大なストーリーとなっている。また2024年に入ってからは“七人のカリスマ声優”が「KING SUPER LIVE 2024」や「EVIL LINE RECORDS 10th Anniversary FES.“EVIL A LIVE” 2024」といった大型イベントにも出演しており、着実に知名度を上げている。
ライブをツアー形式で行うのは今回がはじめて。2024年9月22日(日)には大阪・NHK大阪ホール、9月28日(土)、29日(日)には東京・日本工学院アリーナにて計3公演行い、本作最大規模となる述べ9000人が集った。ここでは、ツアーファイナルとなる9月29日の公演をレポートする。
【出演者】
小野友樹(正邪のカリスマ・伊藤ふみや 役)
山中真尋(秩序のカリスマ・草薙理解 役)
福原かつみ(服従のカリスマ・本橋依央利 役)
細田健太(反発のカリスマ・猿川 慧 役)
日向朔公(内罰のカリスマ・湊 大瀬 役)
大河元気(自愛のカリスマ・テラ役)
橋詰知久(性のカリスマ・天堂天彦 役)
バンド演奏:月蝕會議
雄大な自然が映し出されたオープニングVTRを経て、ステージに設置されている2つのテントから七人のカリスマ声優が順番に登場。『カリスマピクニック』、『カリスマ・イン・ダ・ハウス』の2曲を繰り出し、イベント開幕を告げた。「ランララ ランラ ラーラー! カリスマ!」と元気に腕を振る七人に応えるべく、凡人(※『カリスマ』ファンの総称)たちは全力コール! 2曲とも複雑なコールが盛り込まれている楽曲だが、見事に合わせていた。思えば開演前にBGMとして流れていた『カリスマジャンボリー』収録曲にも、巧みにコールを入れていた凡人たち。肩慣らしは出来ていたのかもしれない。
歌唱後のMCでは、「すっごい声出してくれるね!」「凡人に食われるぞ!」と、凡人の勢いに驚く一同。さらに、昨年はリモート出演だった大河も参加し、七人全員でツアーを完走できる喜びもあらわに。去年はカメラ越しだった大河をベタベタと触り、今年は実体があるぞ!」と、六人は感動しきり。凡人(※ファンの総称)もこれには同意で、大歓声と拍手が会場を包みこんだ。
今回のイベントは“フェス”をモチーフにしていて、ジャンボリー(イベント)を一つひとつ巡っていく構成。まずは、各カリスマが主役となる七つのジャンボリーが順番に催され、それぞれコーナーパートと歌唱パートで観客を楽しませた。
1つ目の内罰ジャンボリーでは、日向が「『生まれてきてごめんなさいコール&レスポンス』で、盛り上がりましょう!」と提案。カリスマ声優が謝りたいことを叫び、観客が代わりに「ごめんなさい!」と謝罪してくれるという、内罰感満点なコーナーだ。「身長169cmしかないのに『170cmです』って言っちゃって……」「ごめんなさい!」(山中&凡人)など、次々飛び出す懺悔と謝罪に乗ってきたのか、最後には日向が「口から出ちゃったご飯粒がまっぴーさん(山中)の台本に乗っかってしまって……」「ごめんなさい!」と凡人とともに絶叫。加えて、「僕みたいなクソキチが、このあと1人で曲を歌うなんて……ごめんなさーーい!!」とも叫び、流れるようにソロ曲『Hell lazy, Psychology.』歌唱へ。大瀬のボソボソセリフとシャウトのギャップに圧倒される同曲は、ヘビーなロックサウンドが持ち味。月蝕會議の生演奏とカリスマ声優六人の生コーラスで、さらに重厚感が増した。
反発ジャンボリーでは、「強制反発ルーレット」なるゲームが行われた。ゲームの参加者も何に反発するのかも、ルーレットで強制的に決められる。ここでドツボにはまったのは、橋詰。「カリスマ声優の誰か」に反発する羽目になり、山中に「メガネにレンズ入っていませんよね? なら自分もメガネかけたかった!」、日向に「この後輩、可愛すぎるんだよ!」と言うも、反発よりも優しさがにじみ出てしまいイマイチ響かなかった。そんななかで最後に落とすのはもちろん、反発ジャンボリーの長・細田だ。しかし反発対象を決めるルーレットが止まらずパニック! 大阪公演、東京公演DAY1に続いての“トラブル”だったため、細田は「なんで直してねーんだよ! こんな企画、もう、ぜってーやらねー!!」と企画そのものに反発。そのまま『ツッパれ!生涯反発』を威勢よく歌唱した。
お次は、性ジャンボリー。『カリスマ』界隈ではすっかりおなじみとなっている「セクシー野球拳」対決を行った。「お尻! 乳首! よよいのよい!」の合図で、スポットが当たった人はすぐさまセクシーな決めゼリフを披露する。何度もスポットが当たって焦る福原や、なかなかスポットが外れず予定外のことまで言ってしまい崩れ落ちる大河など、反発ジャンボリーに続きこちらもドタバタだったが、最後には性ジャンボリーを司る橋詰がバトンを受け取って「夜のリミッターを外してください……」などのセクシー発言でシメ。そのエネルギーをソロ曲『ムンラホルマオ』にも注ぎ込んだ橋詰。熱くパワフルに歌い上げ、観客の歓声を一身に浴びていた。
自愛ジャンボリーでは、「スポットが当たった人は、自分の好きなところを告白して!」と大河。「どれだけ叫んでも潰れない喉と、10年以上風邪を引いていない鋼鉄ボディ!」(細田)、「ミニトマトを噛んだ瞬間、口から種がぴゅっと出ちゃう僕、アーティスティック!!」(日向)など、全員がテンポよく発表していった。複数回当たった福原も、「ツアーに向けて体力づくりを欠かさなかったけど、前日はちゃんと休めるかつみくん、えらーい!」、「炭酸コーヒーだと思って買ったら、『炭焼きコーヒー』だった。そんな僕の目、かわいくなーい!?」とハイテンションに明かし、大河へとバトンタッチ。大河はカリスマ声優たちと凡人に向けて「君たちと一緒にいられる僕は、僕のことが大好き!」と、究極の自愛を披露し『夢の国で』を歌った。孤独だった過去と、そこから抜け出した幸せを歌う同曲。そんなテラの思いを情感たっぷりに歌う大河はもちろん、ステージの両サイドからコーラスで支える六人の頼もしさも際立って見えた。
山中は、秩序ジャンボリーを指揮。「そろそろライブの秩序が乱れてきたので、『理解体操』で秩序を正しましょう!」とキビキビ体を動かして先導した。観客とカリスマ声優六人も、山中の動きに合わせるが……「理解お兄さんを敬う運動!」あたりから、ステージ上のカリスマ声優たちは一気に面倒くさくなった様子で、その場に座り込んだりテントにこもったりして体操を放棄した。日向に至っては、テントに入ったまま「やってられっかー」と言い、出てこない始末だ。この光景に危機感を覚えた山中。「私がお前らに、本当の秩序を教えて差し上げましょう!」と、『MAGICAL秩序☆リカピュア!』を歌唱。六人に見守られながらハイテンポなアイドルダンスを披露した。斬新な方法で秩序を正す山中に、日向もテントから少しだけ顔を出し、元気にリズムに乗った。
「こうして、カリスマジャンボリーは夜通し行われた」。そんな福原のセリフからスタートしたのは、服従ジャンボリー。疲れがたまった福原以外のカリスマ声優たちは、テントに戻って休憩中だ。この状況を好機と見たのか、福原は鼻息を荒くして六人のもとに突撃! テントに頭を突っ込んだまま、優しくみんなの体調を窺った。福原に名指しされたのは、小野と山中。「強いて言えば、へそ」と言う小野には、「へそゴマってこと? じゃあ! 吸い取ってあげようかぁー!?」と絶叫し、「目が悪いですかね? 視力が……」と恐る恐る明かした山中には、「じゃあ僕が! これから一生あなたの目になるねぇー!?」と叫んで、カリスマ声優たちを震え上がらせた。たっぷり奉仕して満足した福原。こぶしを利かせながら『独り奉死』を歌い上げ、これからも尽くし続けることを誓った。
最後に行われた正邪ジャンボリーでは、「ジャンボリーデスゲーム」を開催した。野外で行われているジャンボリーは死と隣り合わせ。そのため、野生の動物に襲われたときの正しい対処法を2択のクイズ形式で答えていく。ここまでのコーナーもトンチキなものばかりだったが、小野が突然無感情で物騒なことを言い始めたため六人は困惑。しかも正解の理由が曖昧なうえ、不正解者は動物に襲われステージから姿を消してしまうため、「せめて(正解・不正解の)理由を教えていただけませんかね?」(橋詰)とパニックに。そして、3問終わる頃には小野以外誰もいなくなり……「はっはっはっはっはっはっ!」という、小野の不気味な笑い声だけが響き渡った。その後披露された『Charisma Battle Anthem』は、小野と六人のカリスマ声優で歌唱。何事もなかったかのようにステージインした六人と小野は、それまでにない気迫と圧をもって“カリスマ流・ラップ・バトルブレイク”を宣言した。
イベント終盤もジャンボリーは続く。アイドルジャンボリーでは、全員曲『みんながカリスマ』を披露。隣のメンバーとペアになって歌ったり、ローラースケートに乗っているかのような振りを見せたりと、端々に往年のアイドルっぽさをにじませたパフォーマンスで、黄色い声援を浴びた。また、「DAILY SPECIAL JAMBOREE」と称された日替わりパートでは『カリスマハウスの事件簿〜消えた秩序の笛〜』(※理解、テラ、ふみやの楽曲)と、『カリスマ1週間』を歌唱。イントロが流れるたび大歓声が上がる、サプライズに満ちたひとときとなった。ちなみに、大阪公演では『ねんねむりんりん』と『カリスマっていいな』、東京公演DAY1では『ほわシャパ☆カリスマス』と『おつカリスマ!忘年会』が披露されていた。
ツアーファイナルでは、お知らせジャンボリーも。10月4日(金)の3周年にあわせて、最新キービジュアルが公開された。また、東京・池袋の「Live Cafe Mixa」にて「祝3周年・カリスマカフェ!」を開催するほか、創作プラットフォーム「Charaforio」とのコラボ企画、9月30日(月)19時より開催の「『カリスマジャンボリーツアー』振り返りリスニングパーティー」も告知した。そして、間髪を入れずに『カリスマジャンボリー』で全力ダンスを見せたかと思えば、『めちゃめちゃカリスマ』では、ソロパート部分で一人ずつ挨拶し、最後には全員がテントへと消え「閉幕」の2文字で潔く終演した。
『めちゃめちゃカリスマ』披露直前には、カリスマ声優が思い思いに凡人への感謝を伝える一幕も。対する凡人も、鳴り止まない拍手で『カリスマ』への感謝を表し、平和なツアーファイナルとなった。昨年と同じ約4000キャパの会場で2日間もライブを行えただけでなく、大阪でも約1400人規模の会場を埋めた『カリスマ』。仮住まいでひっそり暮らしていた序盤のボイスドラマが嘘のように、彼らは名実ともにカリスマになりつつある……のかもしれない。ただ、これからもきっと七人は、凡人には想像もできないトンチキを見せてくれるはずだ。
文:松本まゆげ
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