3月2日、映画『瞼の転校生』(配給:インターフィルム)の初日舞台あいさつが渋谷ユーロスペースで行われ、主演の松藤史恩、そして共演の葉山さら、村田寛奈、市川華丸(劇団美松)、松川さなえ(劇団美松)、藤田直哉監督が登壇した。
本作は公演に合わせて一ヶ月ごとに転校を繰り返す旅回りの大衆演劇一座に所属する中学生の裕貴(松藤史恩)が、限られた時間の中で川口市で出会った人たちと心を通わせながら少しずつ成長していく内容。
主演を務めた松藤史恩さんは「最初に主演と聞いた時は、親から聞いたんですけど、その時は全く実感がわかなくて、台本をいただいたんですよ。いつも台本をいただいたら(自分のセリフの箇所に)付箋を貼るんですよ。そうしたら付箋だらけになって、(セリフが)多いなと思いながら、その時に頑張らなきゃという思いが込み上げて来ました。撮影の期間は終わったあとのクランクアップの達成感はやばかったです。」とコメント。
この作品は大衆演劇を題材にしており、葉山さらさんは「私はオーディションの話を聞いて、初めて大衆演劇について知って、自分でインターネットで調べたりとかして、撮影の時も史恩君とかが演じているのを見て、(大衆演劇は)こんなに面白いものなんだなって知りました。」と明かすと、
村田寛奈さんは「私も(大衆演劇は)全然知らなくて調べたり、見に行ったりとかしてみたんですけど、一番びっくりしたのはクランクインして、劇場での撮影の時に、座長(ざちょうの“ざ”にアクセントを入れて“ざ\ちょう”と発音)って言うんですね。あの発音が聞きになれなさすぎて、大衆演劇では座長(ざ\ちょう)っていうんですよね。っていうのを知られたのは新しい発見だったなと思いました。」と、大衆演劇の独特の発音が有ることを話すと、
市川華丸さんは「普段、使わないイントネーションとかもお芝居の中で入ってたりするので、普段の私生活とかでもちょっとイントネーションがおかしくなっちゃうことはあります。劇中の中でも変にイントネーションを変えて喋ることも有るんです。」と解説していた。
松藤史恩さんは「実は小学1年生の時に歌舞伎を体験したんですけど、その時に大衆演劇ってものがあるよって言われて、大衆演劇の名前だけは知ってたんですけど、そこからは関わりは無くて、今回の映画の役をもらった時に、実際に大衆演劇を見に行ったんですけど、初めは緊張して、“音でかいな”と思って、終わったらパッーと明るくなって、“表情良くなったんじゃない”と言われるぐらい、本当に楽しかったです。」と、大衆演劇の魅力を感じた様子。
市川華丸さんと松川さなえさんは、普段は劇団美松で大衆演劇を行っており、市川華丸さんは「僕が小学校や中学校に通っていた時に、(その場所に)乗り込んで来て、次の日学校だよというのも本当にあったんですよ。観ててリアルだなと思ったし、撮影させていただいてる時もすごくリアルだなというのが印象に残ってます。」と自身が大衆演劇を行う上での生活がリンクしていて驚いた様子。
松川さなえさんは「私たち大衆演劇の生活は、中々知らないと思うんですけど、まさにこの映画はそのままでございまして、映画は一ヶ月の期間に集中して撮影していただいたんですけど、私たち1年365日、毎日違う演目をやるんです。昼間と夜も違うお芝居と舞踊をやりまして、それを30日繰り返して、一ヶ月ずつ移動して行くんですね。私の倅(せがれ)も座長をやってるんですけど、うちに居る劇団の男の子も、みんな子供の頃からなので、まさに一ヶ月ずつ転校しながらという生活を送ってきたんですよ。転校ということで、中々生活に馴染めなかったり、そういうこともたくさん有ったんですけど、この1ヶ月にどんな日々を暮らすのか、それこそ進路に悩むことも本当にリアルに演じてるなと思いました。 1ヶ月っていうのは本当にあっという間でございまして、日々皆さん暮らしてる時には、じゃあこんなことやろうって言ったら、まあ来月やればいいや・・・。そういうこともあると思うんですけど、私たちにはその時会った人来月に会えないかもしれないんですよ。だから、この映画は本当にそういう1ヶ月に集中していいところ撮ってくださったな。それと本当にリアルだと思ったのは史恩君なんですけれども、史恩君がこの映画を通じまして、劇団美松に結構来てくださることが多くて、役を演じてくれたばかりでなく、その後の生活もお泊まりして、ついこの間、1日が初日なんですけど、その前に荷物を10トントラック2台移動するんですけど、そのお引越しもやっていただいて、リアルな劇団員をやって、そういうことも踏まえまして、なかなかリアルだなと思いました。」と、撮影が終わってからも松藤史恩さんは劇団美松に足を運んでいたエピソードを話していた。
そして、何故大衆演劇に着目した映画を作ったのか、藤田直哉監督は「元々若い子を中心とした作品を作りたいなと思っていた時に、いろんな経緯があって、大衆演劇を見に行って、初めて見た時に思ったより若い人が中心になって活躍している姿を見たんですね。それが意外だったというか、勝手な想像で、上の(年齢の)方たちがやってる文化だと思いきや、すごく若い人が活躍してたのを見て、何とかこれを映画にできないかなという所が出発でした。」と明かしていた。
役柄と自分が似てる所を質問されると、松藤史恩さんは「裕貴と似ている部分は、僕も俳優の仕事をと生後半年からやっているので、もう物心ついた時から演技をしていて、裕貴も小さいころから大衆演劇の舞台に出ているので、そこが全く同じで、僕も役者っていう道を、役者っていう道と共にずっと演技をして行って、裕貴も役者で、少し違うは違うんですけど、でも道は同じで、気づいたら演技をしていたという所が似ている部分ですね。」と語る。
葉山さらさんは「私は(役名の)茉耶ちゃんが結構勉強を頑張っている性格だったと思うんですが、私もこの1年間ずっと受験勉強に忙しくて、一生懸命勉強する気持ちがすごく納得しましたし、私も結構友達にはっきり意見を言う方だと思うので、物申すシーンはすごくやりやすかったんですけど、白塗りの人を幼なじみの家に突然連れていく勇気は無いかなという感じです。」と話す。
村田寛奈さんは「(役名の)浅香は地下アイドルをやっていて、新しく大衆演劇の道に進むという人生で、私も実は元々アイドルをやっていて、そこから活動休止して、そのあとどうしようかとなった時に、お芝居の道に進むんですけど、置かれた状況の中で、どうやって生きて行くかみたいなことを考えて行くというのは、浅香も私も同じ状況だったかなというのはすごく共感しました。」と話していた。
最後に松藤史恩さんは「裕貴の役は本当に劇団の座員とでしかほぼほぼ関わっていない役で、新しい友達ができて、最初はどう接してよいか、ちょっとたどたどしい感じで、本当に探り探りの接し方をしていたんですが、だんだん本物の友達として変わっていく裕貴を見ていただけたら嬉しいです。そして、その映画で大衆演劇というものに興味を持っていただいたのなら、ぜひ劇場に足を運んでいただいて、大衆演劇に触れていただくと、より一段とこの物語が面白くなると思います。本日は誠にありがとうございました。」と、超満員の観客に向けて感謝の気持ちを語っていた。
映画『瞼の転校生』はユーロスペースほか全国順次公開中!
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ユーロスペースの映画館が有るビルの1Fに有るカフェの名前は“ Cafe9 (カフェナイン)”です。映画を観たあとの休憩におススメです。