2月24日、第30回読売演劇大賞の贈賞式が都内で行われた。
年間に活躍した新人を対象に贈られる杉村春子賞には、『ミネオラ・ツインズ』の双子の姉妹役、『ザ・ウェルキン』のサリー役で評価された大原櫻子さんが受賞した。
大原さんには、昨年受賞者の那須凜さんからブロンズ像が手渡された。
大原櫻子さんは「那須凜さんのお話を聞いたら涙してしまうかと不安だったんですけど、思った通り泣いてしまいました。今深くお辞儀をしたい気持ちでいっぱいです。賞の知らせを受けたときは、大寒波が到来していましたが、私の心には温かな春風が吹くようでした。この度は、栄えある杉村春子賞をいただき誠にありがとうございます。個人事務所の経営者でもある両親。5年前突然事務所を立ち上げることになったにも関わらず、必死に支えてくれてありがとう。両親は、私に言葉を教えるよりも先に演劇をたくさん見せてくれました。『今は分からなくてもいいからとにかく見ておきなさい』という父の言葉が、子どもの頃から女優になりたかった私の夢を育んでくれたんだと思います。春風が吹いて、桜はまだつぼみをつけ始めたばかりです。この賞を胸に自分で選んだ道を歩み、満開の花を咲かせ続ける役者を目指したいです」と話した。
最優秀女優賞には、『千と千尋の神隠し』の千尋役や『ダディ・ロング・レッグズ』のジルーシャ・アボット役で評価された上白石萌音さんが史上最年少で受賞した。
上白石さんには、昨年受賞者の緒川たまきさんからブロンズ像が手渡された。
上白石萌音さんは「身に余る賞を頂き大変恐縮です。めちゃくちゃ重いです。ありがとうございます。私は幼い頃から舞台が大好きでした。小学生の時から将来の夢は、舞台俳優になることでした。甘い世界ではないと一度は夢をきっぱり諦めたこともありましたが、数々の尊いご縁と幸運に恵まれ今があります。憧れ続けていた世界は、やはり甘くなく今もお稽古の真っ最中ですが、毎日悩むことばかりです。うまくいかないことの方が多くて、今日も稽古場からどうしたものかと首をひねりながらこの会場に来ました。その焦りや悔しささえも私にとっては大きな喜びです。子どもの頃から大好きだった演劇に携われているという幸せが、どんな困難も私を引っ張り上げてくれます。演劇が私は大好きです。今はまだカンパニーの皆さんに助けていただいてばかりですが、私もいつかは誰かに手を差し伸べられるような、それくらい長く芝居を続けられたら幸せだなと思っています」と語った。
最優秀男優賞は、『セールスマンの死』のウィリー・ローマン役や『女の一生』の堤伸太郎役の演技で評価された段田安則さんが受賞した。段田さんには、昨年受賞者の高橋一生さんからブロンズ像が手渡された。
長年にわたり演劇界に多大な貢献、もしくは優れた企画を推進してきた個人や団体に贈られる芸術栄誉賞には、草笛光子さんが受賞した。
第30回読売演劇大賞には、劇団チョコレートケーキ『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』が選ばれた。
上白石萌音さんと望海風斗さんによるパフォーマンスも行われた。
第30回読売演劇大賞
大賞・最優秀作品賞 『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』(劇団チョコレートケーキ)
最優秀男優賞 段田安則
最優秀女優賞 上白石萌音
最優秀演出家賞 五戸真理枝
最優秀スタッフ賞 前田文子
杉村春子賞 大原櫻子
芸術栄誉賞 草笛光子
選考委員特別賞 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
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