ヒューマンビートボックスのイベント「BEATCITY JAPAN PRE supported by SWISSBEATBOX」が1月8日に東京・WOMBで開催された。このイベントに国内外のビートボクサーたちが集結。スペシャルショーケースや賞金30万をかけたバトルを行った。
さらに今回のイベントはABEMAで独占生中継もされ、多くのBEATBOXファンを魅了した。ABEMAでは見逃し配信で視聴可能!
今年、ビートボックスの世界大会である「Grand Beatbox Battle(以下、GBB)」が東京・EX THEATER ROPPONGIで「Grand Beatbox Battle(以下、GBB)」開催される。
そのGRAND BEATBOX BATTLE23 TOKYOは10月18日から21日の4日間で開催される。
さらに翌日の10月22日には次回「GBB」の出場権をかけて8人のアーティストがバトルする「7 To Smoke」とアフターパーティーが東京・Spotify O-EASTで行われる。
なお10月の「GRAND BEATBOX BATTLE23 TOKYO」は既にチケットソールドアウトとなり人気の高さが表れている。
この大会が開催されるのは2021年10月のポーランド・ワルシャワ大会以来約2年ぶりとなるため、ビートボックスのワールドカップと言われるこの大会への各国の代表者へと注目が集まる。
今回の「BEATCITY JAPAN PRE」は「GBB」を主催するビートボックスコミュニティ「SWISSBEATBOX」の公式サポートにより実現した。2月25日には「GBB 2023」の出場権をかけた「BEATCITY JAPAN」が東京・Spotify O-EASTで行われる。
まずは司会のユージがステージに登場。撮影&声出しOKが発表されると満員の観客から大きな声が上がる。ビートボックスバトルは司会と観客のコールアンドレスポンスから試合をスタートさせる。まず司会者が「I say the 3 and you say the 2 and 1」と言った後に「3」とカウントをはじめたら、観客は「2、1」とレスポンスして、最後に全員が「Beat Box!」と言ったらバトルが始まる。ユウジが観客と掛け声の練習を行うと、場内はさらに一体感が増した。
ルールは1試合2ラウンドのトーナメントで、持ち時間は1ラウンド各90秒。審査はCOLAPS(「GBB 2021」SOLO部門優勝、TAG部門準優勝)、KING INERTIA(2021年「7 To Smoke」優勝、American Beatbox Championship優勝)、AFRAの3人が行う。今回は出場するのはYAMORI、妖怪うらに洗い、Kaji、DUB-OX、EX-F、RUSY、Ettoman、MiZの8名。いずれも日本屈指のビートボクサーたちだ。
1回戦の第1試合目は先攻が妖怪うらに洗い、後攻がYAMORI。ともに歌うスタイルが特徴のビートボクサーだ。妖怪うらに洗いはハードボイルドなトランペット音で映画のような世界観を作り上げたかと思えば、ビートルズの“Let It Be”のフレーズ、チョッパーベース音などを矢継ぎ早に織り交ぜた。対するYAMORIはスロウな展開。歌とリズムを駆使してジャジーなパフォーマンスを聴かせた。妖怪うらに洗いも歌でレスポンスしたが、YAMORIが「愛してる」というワードとスキルを散りばめた遅めの四つ打ちR&Bを披露して勝利した。
第2試合目は沖縄を代表するビートボクサーのDUB-OXとトランシーなKAJIのバトル。先攻のDUB-OXは舌を「コツッ」と鳴らすクリックロールでKAJIを挑発した。するとKAJIはそこに鳥の鳴き声を混ぜつつ同じ技を使ってアンサーして歓声があがる。だがDUB-OXは低音を効かせたダブステップサウンドから自身のルーツであるヒップホップスタイルにスイッチしてキレとノリのあるパフォーマンスで流れを自分側に引き戻す。KAJIはガバで応戦するも審査員はDUB-OXに軍配。負けたKAJIはがっくり膝を落とした。だが審査員のKING INERTIAは「クレイジーな試合だった」と2人を評価した。
続くEX-FとRUSYの試合では、白熱するバトルにテンションが上がってしまった司会のユージが、先攻後攻を決めるじゃんけんの段取りを飛ばしてしまう。それにRUSYは「まだじゃんけんしてない」と冷静に突っ込むと場内に笑いが起こった。
だが試合はどんどんディープになっていく。EX-Fが低音中心のパーカッシヴなダブステップスタイルの中に信号音のような「ピピッ」という高音を差し込む。それを驚いていると今度はRUSYがハイパーポップ的なグリッジノイズ音が表現される。その後も、EX-Fの日本的な笛を思わせる音、RUSYによるトラップのサブベース的な低音表現など、驚きのスキル合戦が繰り広げられた。これには審査員のCOLAPSも「センスがヤバい」と絶賛。僅差でRUSYが勝ち抜けた。
1回戦最後の試合は、ブラックミュージックをベースに感じさせるEttomanと、多様性に富んだMiZのスタイルウォーズとなった。Ettomanは音数、展開ともに多いが方向性がまとまっているので全体的にタイトだった。対するMiZはクィーンの“We Will Rock You”のビートをサンプリングするなどアイデアがおもしろい。どちらにも甲乙つけがたい試合内容だったが、審査員はEttomanを選んだ。AFRAは「ビートボックスはいろんなおもろい音やビートを出せるからこそ、90秒でいかに音楽として聴かせられるかを、ノリの中でアイデアを出せているかを重視して(審査して)います」と話した。
二回戦の前に審査員のAFRAのショーケース。ビートボクサーによる日本初のアルバムをリリースしたシーンのパイオニアだ。またTVCMでビートボックスを披露して日本中を驚かせた。ショーケースでは、自身のアルバム『ALWAYS FRESH RHYTHM ATTACK』からJ.Dillaのビートをカバーした楽曲を披露。メロディパートを観客に歌わせるコールアンドレスポンスで場内を大いに盛り上げた。
二回戦の1試合目はイケイケのDUB-OXとクールなYAMORIの対戦となった。DUB-OXは低音重視のスキルを使って煽り倒すも、YAMORIがEVISBEATSの“いい時間”をカバーしたことで華麗にいなされてしまう。歌、ビート、ギター、ミュートトランペットなどをひとつの口で表現してみせた。これにはDUB-OXも、自分のターンの前に「めちゃくちゃいい時間だったよ」と関心した。だが簡単に引かないのがバトル。マイクを外すなど、緩急をつけた激しいビートボックスを披露した。またしても難しいジャッジとなったが、審査員はYAMORIをチョイス。AFRAは「シンプルにすごいな」と両者の激闘をたたえた。
2試合目もレベルが高かった。RUSYはさまざまなEDMのサブジャンルを90秒にクイックミックスしたかのような驚愕のパフォーマンスを2回、対するEttomanもドラムンベースやダンスホール、レゲトンなど、越境したサウンドを休む間もなく繰り出していった。2人ともMPCを使っていると錯覚するほどさまざまな種類の音を口だけで表現する。違う質感だが、ともにリズムとキレは安定しており、構成も申し分ない。この戦いはどちらがが勝つのか……。ジャッジはEttoman。CORAPは2人を「サプラジングだった」と評した。また試合後、Ettomanは「RUSYは俺の推しなんで、みんな覚えといて!」とコメントした。
決勝戦の前にROFUのスペシャルショーケース。
彼らは「ASIA BEATBOX CHAMPIONSHIP 2018」タッグ部門の優勝者。その後、YouTubeをスタートさせ、世界のビートボックスの最先端を日本に紹介し続けている。AFRAが開拓者なら、ROFUは伝達者とでも言おうか。ROFUの特徴は音楽性とエンタメ性を高次元に融合させていること。面白いし、かっこいい。この日もサングラスのFUGAはアルミホイルのようなマント(?)をまとって登場。そこにニットキャップのHIROが淡々とビートボックスし続ける。またMiZにインスパイアされたのか、FUGAがの“We Will Rock You”をフレディ・マーキュリーのように歌うと場内に爆笑と大合唱が巻き起こった。
そして、ついに決勝。先攻のYAMORIはスロウでセクシーな歌にビートボックスの技を混ぜるおなじみのスタイル。しっかりと間を使うので音数が少ない。同時にひとつひとつの技にクオリティが求められる。Ettomanは意外にも出だしは歌でスタートする。まるで「俺も歌えるぜ」と言わんばかり。そこからすぐにいつもの攻撃的なスタイルに。キレと音質、音量のあるバスドラ。音に合わせてYAMORIをパンチするようなジェスチャー。どんどん煽る。だがYAMORIもまったく怯まない。2ラウンド目はさらに間を使う。歌、ギター、ミュートペット、トロンボーンにワブルベースまで、複数の音を同時に丁寧に表現した。YAMORIが持ち時間より早く終わるとEttomanは「(YAMORIが二回戦に対戦した)DUB-OXの仇は俺がとります」と宣言。そしてなんとブルージーなポップスを歌い始める。これには場内全員が驚いた。そして、うまい。みんなが手拍子を始めた。すると一気にサイケトランスの引き出しを開けて畳み掛けてきた。
優勝者発表まで審査員3人が少し協議の時間。その間、激闘を繰り広げたYAMORIとEttomanは雑談をしていた。その中でEttomanはYAMORIにコラボを公開オファー。観客に「俺らのコラボなんてまったく想像できないでしょ?」と聞くと大いに盛り上がった。そして結論が出た。最後はCOLAPSが2人の手を握って、勝者の手を上げる。どちらか。優勝はEttoman。賞金の30万円を獲得した。Ettomanは「今年日本で開催される『GBB』は何十万円出してでも海外まで観に行きたい大会。実際に(自分も行って)損をした思ったことは一度もないです。それが日本で開催されるなんて僕らの世代では考えられないんですよね。みなさんもこのタイミングでビートボックスを好きになってくれたのは運命だと思いますので、みんなで『GBB』を盛り上げていきましょう!」とコメントした。
そしてスペシャルショーケース。まずはKING INERTIA。観客はもちろん、バトル出演者たちも食い入るように見守る。場内からは「ヤバい」が連発。聴いたことのない音が出されると国内ビートボクサーたちは「なんだあれ!?」と驚いていた。最後はCOLAPS。リズムの正確さ、音の配置、安定感、音量、サウンドのセンスに場内は驚きにみちた声援を送った。「ありがとう!」を連呼する観客も。それほどまでに圧巻のパフォーマンスだった。グッドバイブスで笑顔になったCOLAPSも日本語で「さわげ! さわげ!」とレスポンスする。さらにKING INERTIAが再びステージに登場。2人のコラボステージにこの日で最高の声援が送られた。これが「GBB」。あっという間に時間は経ち、COLAPSとKING INERTIAの熱い抱擁でイベントは幕を閉じた。観客の熱気からも、今年は日本のビートボックスシーンがすごいことになりそうな期待を感じさせた。
BEATCITY JAPAN
日本大会チケット:https://eplus.jp/sf/detail/3727020001
(一般発売は1/14土曜日12:00〜)
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