2022 年 4 月 26 日で活動 10 周年を迎える FullMooN が、4 月 16 日に Thunder Snake ATSUGI を舞台に「ねね生誕祭 ~10 周年 Anniversary 絆 ~」を行った。オープニングアクトに妹バンドの Empress も登場。
4 月 27 日に発売する最新シングル『shut out』にも収録。10 周年ライブの幕開けを飾ったのが、今のメンバーたちと、FullMooN を長く支持し続けるファンたちとの関係性を示した『絆』。
10 年という月日を止まることなく活動し続けられたのも、FullMooN に人生を賭けたメンバーたちと、彼女たちの強い意志を受け止め、支持してきたファンたちの熱意があってこそ。だから彼女たちは、『絆』からこの日のライブを幕開けたかった。
「二度と後戻りはしない」と歌いだした『光』も、求める景色をつかむまでけっして挫けない彼女たちの強い姿勢を示した楽曲。フロア中が青いサイリウムの光に包まれた『青い月』でも、ファンたちと共に夢見た景色を見ようと伝えてきた。今の、いや、FullMooN を始めたときから変わらぬ思い記した楽曲を 4 人は序盤に並べ、これからも変わることなく、一緒に夢描きたい景色を見るまで走り続けようと誘いかけていた。
最新シングルの『shut out』のC/W に収録した『Chase』でも彼女たちは、消せない夢を追いかける意志を示していた。以前から彼女たちは、仲間たちとの繋がりや、共に夢を追いかける気持ちを歌にし続けてきた。その思いが、FullMooN を 10 年間突き動かしてきた原動力になっているからこそ、自然と自分たちの感情が楽曲に描きだされるのも当然だ。
続く『赤い糸』でも、互いを繋ぐ運命の糸について FullMooN は歌っていた。何度も運命の糸と感じ、そのたびにきつく結び合っていたはずなのに、その糸は、ときどき色を落とし、プツンと切れてしまう。それでも赤い糸を探し続け、出会い、解けぬくらいにきつく結び合えたのが、今の 4 人。その喜びを示すように、4 人はゴツゴツとしたギターの音も印象深い『effecter』を
通し、その場でガンガン飛び跳ねれば、フロア中を拳突き上げる熱い風景に塗り上げていった。
えれんの凛としたギターのアルペジオ奏法から始まった『Paradigm』では、4 人とも攻めた姿勢で激しく音や歌声を突きつけてゆく。時に、高揚/激烈二つの表情を巧みに使い分けながら。でも、攻めたときの荒ぶる姿に気持ちを熱くせずにいれなかった。
トリッキーなプレイを詰め込んだ『blue max』でも、歪みを上げた音を魅力に観客たちを熱く騒がせれば、『Reset』でもメンバーたちはアグレッシブな姿を示していた。このブロックで
FullMooN が示したのは、ハードロック寄りな姿勢の中へ、トリッキーでオルタナティブな音楽性を加味したスタイル。今も激しい音楽性を示しているが、このブロックに並べた楽曲を演奏していた頃は、かなりオラオラな姿勢で観客たちへ挑みかかっていた。彼女たちの中に潜む、荒ぶる野生な姿がこのブロックの演奏からも浮かび上がっていた。
愛しい思いをたっぷりと込め、「目の前の君が笑えますように」と歌うねねの声から始まった『affection』では、4 人の包み込むような温かい心模様を実感。激しく攻める FullMooN も気持ちを熱く騒がせるが、胸の内に溜め込んだ気持ちを伝える歌からも、4 人の愛を感じれる。「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」と歌い上げて始まった『癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている』でも、そう。熱情した気持ちを告白するように歌うねねの声を、胸の内でしっかりと受け止め、ギュッと抱きしめていたかった。
ねねの心解き放つ歌声にシンクロするように、演奏も輝きを放ちだす。「君がいるから僕は笑える」と歌う『Change song』に振れていると,彼女たちの温かい心模様に寄り添いたくなる。
彼女たちが弱い心に優しく手を差し伸べてくれるからこそ、その手を握り返したくなる。
次に披露したのが、ファン投票リクエストNo.1 に輝いたバラードの『sugar』。この曲では葵がカホンを、えれんがアコギを手に、アコースティックスタイルにアレンジして演奏。愛しい人に会いたい思いを温かく歌い上げるねねの歌声からスタート。この曲では、揺れ動く感情へ寄り添うように歌うねねの歌声を、演奏陣が音数を抑え、優しく後押してゆく。『 sugar』を通して、ねねの歌声の魅力をたっぷり味わえたのも嬉しかった。
次のブロックへ向かう前に行われたのが、ワンマン公演ではお馴染み、邪悪将軍らの魔の手から伊豆の平和を守るために戦い続けているイズカイザーを迎えた「イズカイザーショー」。いつものように Empress が悪の魔の手にかかり、邪悪将軍につかまってしまう。そこへ助けにきたのがイズカイザー。邪悪将軍との壮絶??なバトルの末に、イズカイザーが勝利を手に…。着替えを終えた FullMooN のメンバーらが舞台へ。イズカイザーもメンバーに迎え、披露したのが『イズカイザーのテーマ』。途中から邪悪将軍も乱入。FullMooN の歌に合わせ、イズカ イザーが技を繰り出す場面は嬉しい見どころになっていた。
ここからは、FullMooN ナンバーの中でも、キラキラとした輝きを放つポップで開放的な面を提示。『DRAWINGSTARS』を通して愛らしい姿を見せれば、『魔法の言葉。』でも、 FullMooN の中へ潜む乙女な一面を示してきた。昨今の FullMooN と言えば、アグレッシブな姿勢を見せるパフォーマンスを魅力にしている。だからこそ、FullMooN の中にある女性ら しいハートフルな面を感じれたのが嬉しかった。
続いては、パートチェンジ演奏へ。ここではドラムをねねが、ベースをえれんが、ギターをりんが、ヴォーカルを葵が担当。披露した『エール』で 4 人は,未熟な技術面を勢いで誤魔化していた。曲調がポップでキッシュという理由もあるが、まるで高校生たちが青春パンクナンバーを演奏しているようで、とても新鮮に見えていた。
次のブロックでは、ファンがメンバーの一人と入れ代わり演奏する「メンバーパートチェンジ」コーナーへ。『燈』ではギターとヴォーカルを。『世界に一つだけのパーリナイツ』『Change Song』『魔法の言葉。』ではベースが、それぞれにチェンジして演奏していた。
ライブも後半へ。『ドキドキ夏休み』を通し、FullMooN は会場へ常夏の風を吹かせてゆく。このブロックでは、FullMooN の中でもアッパーで解放感満載な楽曲を次々と披露。この曲ではねねがフロアに乱入し、観客たちを煽りだす。そのフリーダムな姿勢も FullMooN らしさ。『サバイバル』では、ふたたび凛々しい姿で観客たちを熱く煽る。おらおらな姿勢で雄々しくせまる姿は、やはり FullMooN に似合うライブのユニフォームだ。
高ぶる気持ちを、さらに熱情したままアゲるように、FullMooN は『Trust』をぶつけてきた。攻撃的な姿勢で、荒々しい音を次々とぶち込む姿勢が胸を熱く騒がせる。ねねも、終始身体を前のめりに,沸き立つ思いを熱く歌いあげていた。勢いを継続したまま、続く『Broadway』では、明るくキャッチーな面も見せてゆく。この曲では、観客たちをフロア中で走らせれば、メンバーの動きに合わせくるくる身体をまわす場面も登場。オラオラと煽る姿にも気持ちが熱くなるが、『Broadway』で見せた、パーティームードの中、一緒にわちゃわちゃとはしゃげるのも FullMooN のライブを作り上げる嬉しい魅力だ。
ここで「好きな曲ランキング」をカウントアップする形で発表。『光』『しゃむちゃら』『青い月』『ドキドキ夏休み』『 blue max』『DRAWINGSTARS』『癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている』『ステージ』『BLACK BOX』『sugar』の順。
次に披露したのが、人気投票第 2 位にランクインした『BLACKBOX』。かなり激しく攻めた楽曲だ。ハードエッジ/パンキッシュでアグレッシブな姿勢を見せる楽曲をメンバーらは叩きつけ、フロア中を熱狂へと巻き込んでゆく。高ぶる感情へさらに熱情したエナジーを注ぎ込むように、 FullMooN は『燈』を歌唱。なんてエモい楽曲だ。『燈』に振れていると自然に気持ちが高ぶり、沸き立つ情熱をぶつけずにいれなくなる。拳をきつく握り、身体を大きく揺らし、舞台上の 4 人に向かって滾る思いを大勢の人たちがぶつけていた。
ここで披露したのが、4月 27 日にシングル発売する『shut out』。めちゃエネルキッシュで感情バーニングさせる楽曲のように、まだまだライブでの耳馴染み少ないとはいえ、そんなの関係なく、誰もが 4 人に煽られるまま高ぶる思いをヘドバンや振り上げる拳に変え、思いきりぶつけていた。
本編最後を飾ったのが、FullMooN のライブの最後を飾ることの多い『しゃむちゃら』だ。FullMooN と言えば『しゃむちゃら』という印象を覚える人たちも多いように、フロア中の人たちも、メンバーらの動きに合わせ手を振れば、荒々しく弾け飛ぶ楽曲に合わせ、心や身体が求めるままに騒いでいた。『しゃむちゃら』、触れたとたんに気持ちを 10 代のガキに戻し、本気で騒
がせてくれる最高のパーティーロック曲だ。
アンコールの最初に披露した『スーパージェット1号機』では、ねねと観客たちが手にしたタオルをくるくると振りまわし、一緒にフロアの熱気へ、さらに熱を加えていた。ねねの誕生日を祝うサプライズを挟み、最後の最後に FullMooN は、この舞台に立つ意味や、ここで歌い続ける意志を改めて示すように『ステージ』を歌っていた。 4 人にとって、ここが生き続ける場所。自分らしくいるれのは当たり前、この場所から離れてしまったら自分を偽った人生を過ごすことになるのをわかっているからこそ、自分が当たり前に輝ける場所に立ち続けることを 4 人は伝えてきた。いつまでも、いくつになっても、たとえほうれい線が増えようと、その笑顔が曇らない限りは、ズッとその笑顔を見続けていきたい。
TEXT:長澤智典
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