第97回アカデミー賞の国際長編映画賞イラク代表作品として注目を集める映画『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』が、現在絶賛公開中です。
8月9日(日)、アップリンク吉祥寺にて本作の公開記念トークショーが開催され、事故で下半身不随となりながらも車いすでアイドル活動を続ける、猪狩ともかさん(仮面女子)がゲストとして登壇しました。

過酷なイラクで希望を捨てない少年の姿に、自身が車椅子生活の中で見つけた「前を向く工夫」を重ねながら語ったイベントの模様をお届けします。
支えてくれた家族への感謝と「仮面女子」という原動力

事故後のリハビリ生活や家族の支えについて問われた猪狩さんは、入院中のエピソードを振り返りながら感謝の思いを口にしました。
「5ヶ月半入院したのですが、家族が毎日お見舞いに来てくれました。私が実家に戻れるように、家を改装してくれたり、車の状態をどう変えればいいのかなど、とても色々と調べてくれました。本当にたくさん支えてもらいました。もう言い切れないほど、全て支えてもらいました」
また、映画の中で主人公の少年・ハムディにとっての希望が「サッカー」だったことを踏まえ、家族以外での希望や支えになっているものを尋ねられると、自身の所属するグループへの深い愛を語りました。
「やはり『仮面女子』というグループの存在です。事故に遭って活動が止まってしまった時も、メンバーや事務所の方、ファンの皆さんが『待ってるよ』と言ってくれた言葉が、私にとっての原動力でした」

「夢を持つこと」の意味と、絶望の淵で救われた言葉
劇中では主人公ハムディがサッカーへの情熱を抱き続ける姿が描かれています。改めて「夢を持つことの意味」について問われた猪狩さんは、自身の考えを明かしてくれました。
「夢や目標がある方が、日々を頑張ることができると思うんです。目標がないと『何のために働いているんだろう』『何のために勉強しているんだろう』と思ってしまいがちですが、自分がこうなりたいという目標や夢があるとそこに向けて頑張れるので、夢を持っていた方が人生が豊かになると思っています」
さらに、事故に遭った直後という絶望的な状況の中で、前を向くきっかけとなった実兄からの言葉についても明かしました。
「事故に遭って間もない頃、心に刺さった言葉があります。兄に言われた『車椅子に乗ってても人を幸せにすることはできると思うよ』という言葉で、今でもずっと忘れません。自分が車椅子生活になると分かった時は、『どうやってアイドル活動ができるんだろう』『車椅子に乗ったアイドルは見てもらえるのかな』と考えたこともありました。でも、車椅子に乗っていてもパフォーマンスする姿を見せることで、きっと元気になってくれる人、幸せな気持ちになってくれる人はいると信じて頑張れたので、その言葉はすごく今でも覚えています」

憧れの存在と日々の活動で心がけていること
主人公ハムディにとっての憧れがサッカー選手のメッシであることにちなみ、自身の憧れの存在について尋ねられると、辻希美さんの名前を挙げました。
「私は元モーニング娘。の辻希美さんにすごく憧れています。お子さんを5人も育てながら、あの可愛いビジュアルを保たれているのは本当にすごいなと思っています。お料理も上手ですし、YouTubeで可愛らしいお料理している姿を見るのが楽しくて、今でもたくさん見ています。オーディションの時からずっと見ています」
また、多くの人々に希望を与えている猪狩さん自身が、日々の活動で大切にしている姿勢についても語りました。
「日々の活動で心がけているのは、自分自身が楽しむということです。やはり『楽しい』という感情はすごく伝染するものなので、まずは自分が楽しむことで、皆さんにも楽しんでもらえると信じて活動しています」

映画が伝える「平和」と「日常の工夫」への共感
本作が描くテーマやメッセージ性について、どのような人に観てほしいかを尋ねられると、観客へそっと寄り添うような言葉を送りました。
「自分のことを『今ちょっと幸せじゃないな』と思ってしまっている人や、『何のために自分は生きているんだろう』と思っている人が観た時に、自分の悩みってちっぽけなんだなと思って勇気づけられるのではないかと思いました」
また、日本では遠く感じられがちな「戦争」というテーマについても触れています。
「日本にいると古い出来事に感じるかもしれないですが、映画を通して『これが今現在起こっている国もあるんだ』と思うと、本当に平和について考えさせられます」
さらに、劇中で印象に残ったシーンとして、家族のドラマや日常の知恵を挙げました。
「片足を失った主人公がお父さん、お母さんに当たってしまうシーンが印象的でした。他には、テレビを布のようなもので背負っていたシーンがあって、『そういう工夫の仕方があるんだ』と、とても驚きました。私自身も障がいを負って生活するようになってから、不便な出来事に直面すると『これをどうしようか』と考えて工夫しながら生活しているので、すごくヒントになったと言いますか、共感する部分がありました」

観客へ向けたラストメッセージ

最後に、集まった観客に向けて温かいメッセージが送られ、イベントは幕を閉じました。
「みなさん、本日はご来場いただきありがとうございました。私は障がいを持って『障害者』と言われる立場ですが、それでも夢や目標を持って、仮面女子というグループで活動しています。皆さんもこの先にきっと色々と悩むことがあると思いますが、その時は今日観た『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』を思い出して欲しいなと思います。本日はありがとうございました」
映画『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』は絶賛公開中!
映画『バグダッド・メッシ 片足のサッカー少年』作品情報

イラク戦争が奪ったのは、メッシに憧れる少年の左脚と夢。 それでも彼は、明日を諦めない。荒廃した現実から生まれた、一筋の光のような物語。
STORY
2009年、イラク戦争下のバグダッド。 メッシに憧れる11歳の少年ハムディは、仲間たちと泥だらけのサッカーボールを日々追いかけていた。 しかし、一瞬の爆撃に巻き込まれ、目覚めたときには片足を失っていた。
夢も自由も奪われ、さらにアメリカの警備会社で通訳をする父を憎む者に家を焼かれてしまった一家は辺境の村へ逃れる。 片足を理由に地元のサッカーチームから拒絶され、何もかもが変わってしまった世界で居場所を見失うハムディだったが、閉ざされた少年の心を両親の愛が動かし、もう一度夢を見るために一本の足でも立ち上がろうとする。
しかし、戦争という無慈悲な現実はなおも容赦なく彼らに襲いかかる――。 戦争に翻弄されながらも「サッカーへの想い」を胸に歩み続ける少年の姿は、希望さえも飲み込もうとする非情な現実のなかで、人間が生き抜くことの真の意味を我々に問いかける。
公式HP:https://baghdad-messi.jp/
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