8月19日（金）大阪・心斎橋のライブハウス、Pangeaにて、新進気鋭の若手ロック・バンド5組が出演したイベント、『SKID ZERO pre. ‟OSAKA ZERO -Hybrid scene-”』が行われた。
このイベントは、アーティスト・サポート・チーム「SKID ZERO」が主催のライブ・イベントで、『TOKYO ZERO』として過去3回東京にて開催されてきたが、今回が大阪初進出となる。
コロナ禍の影響で各地のイベントやフェスにキャンセル・アーティストが続出する中、出演予定アーティスト全員が無事参加を果たしたこの日。今回の出演は、‟the engy”、‟SLMCT”、‟ハク。”、‟バウンダリー”、‟Leica”の5組で、まさに異種格闘技の様相。
夏休み中ということで、少し早めの午後5時の開演となり、まずはFM802のDJで、自身の番組『RADIO∞INFINITY』で数々のインディーズ・バンドを取り上げてきた樋口大喜がMCとして登場し、イベントの趣旨説明と各バンドの紹介を行ない、高らかに開会を宣言した。
最初に登場したのは、2017年結成、大阪を拠点に活動中の4人組ロック・バンド‟Leica”。タイトなリズム隊をバックに、紅一点ヴォーカルの透き通った声と、縦横無尽に豪快に音を散りばめていくリード・ギターが絡みあう独特なアンサンブルがこのバンドの真骨頂。アッパー・チューン中心の5曲を通して、一気に会場の空気を変えてみせた。
続いて2014年結成、兵庫県西宮市を拠点に活動する4人組、‟SLMCT”が登場。前日に茨城県の水戸でライブを行ない、車移動で駆け付けたそうだが、そんな疲れを一切見せずに、時にブルージーに、時にサイケデリックに会場を自分達の世界に引き込んでいく。数少ないMCでは、ほっこりとした笑いを誘うそのギャップも魅力的だ。動画サイトではミュージック・ビデオやライブ映像が海外、とりわけラテン・アメリカのファンにも評判になっている彼ら。今後のワールド・ワイドな飛躍が期待される。
そしてここで再度MCの樋口大喜の登場を挟み、イベントのちょうど真ん中、3番目に登場したのは、2019年結成、大阪を中心に活動する平均年齢19歳という4人組ガールズ・バンド、‟ハク。”。‟今”の空気を確実にとらえつつも、どこか90年代の欧米の良質なインディー・ポップ・バンドを彷彿とさせる、少しひねりの効いたメロディ・センスは独特で、途中ヴォーカルが語った通り、確かに会場に一陣の風を吹かせてみせた。
4番目に登場したのは同じく大阪を拠点として活動している2013年結成のトリオ編成ガールズ・バンド、‟バウンダリー”。ドラム（＆コーラス）、ベース（＆コーラス）、ギター（＆ヴォーカル）というロック・バンドとしては最小限の編成ながら、各メンバーの醸し出すロック・グルーヴは半端なく、ハイスピードなロックン・ロールからバラードまで、重低音で観客を鷲づかみにする強力なドラムのビートにベース、ギター、ヴォーカル、コーラスを載せて味付けしていく彼女達のサウンドは、たった3人ながら比類なき存在感を示してくれた。
そしてラストを飾ったのは、京都発、ソウル、ヒップホップ、ダンスミュージック、エレクトロニックなどあらゆるジャンルを取り込んだ4人組バンド、‟the engy”。ドラム、ベース、ギター＆キーボード＆コーラス、そしてヴォーカル（＆ギター）という編成で、肉体的な人力ビートとエレクトロなプログラミングを融合させてダンス・チューンを奏でるスタイルは確実に‟今風”ではあるけれど、アンコールを含めて変幻自在のパフォーマンスでフロアを揺らし続けたヴォーカリストがしたたらせた半端ない汗の量は、ライブが尊い肉体労働であるということを如実に物語っていた。ライブハウスPangeaが最後はミラー・ボールの似合うダンス・フロアと化して、ライブは大団円を迎えた。
イベントの最後にMCの樋口大喜が再々登場し、出演したバンドへのねぎらいと観客への引き続きの各バンドへのサポートを依頼してイベントを締めくくった。
今後、ZEROライブは全国各地に拡大開催予定というから、是非お近くで開催される際は足を運んでほしい。
the engy
SLMCT
ハク。
バウンダリー
Leica
樋口大喜
