舞台『セツアンの善人』、世田谷パブリックシアターで開幕—現代社会に響く寓話劇
ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが第二次世界大戦中に執筆した『セツアンの善人』が、世田谷パブリックシアターで2024年10月16日より上演中です。本作は、ブレヒトが亡命先のスイスで発表した寓意劇で、神々が地上で善人を探す物語を通して「人は善良でいられるか」という深い問いを投げかけます。今回の上演では、劇場の芸術監督である白井晃が演出を手掛け、今を生きる我々に強く訴えかける作品に仕上げています。
シェン・テとシュイ・タを演じる葵わかなの挑戦
物語の中心を担うのは、葵わかなが演じる心優しい女性シェン・テと、彼女の分身である冷酷な青年シュイ・タ。この二役を巧みに演じ分ける葵の熱演が注目されています。「初めての一人二役で、男性役にも挑戦しています。歩き方一つとっても難しいですが、キャラクターの差を出すことで物語がさらに面白くなります」と葵は語り、稽古から本番まで真摯に役作りに取り組んできた姿勢が感じられます。
豪華キャストと白井晃の演出
共演には、シェン・テが恋に落ちるパイロット役の木村達成や、水売りのワン役に渡部豪太といった実力派が揃い、さらに神々を演じるラサール石井、小宮孝泰、松澤一之と、バラエティに富んだキャスト陣が物語を彩ります。白井晃の繊細かつダイナミックな演出により、アジアを彷彿とさせる「セツアン」の街に息づく人々の姿が現代の視点から鮮やかに描き出されています。
80年の時を経て、現代に問われる普遍的なテーマ
1943年に初演されてから80年以上経つ本作ですが、貧困や人間関係の葛藤など、現代社会に通じるテーマが色濃く反映されています。「人はどこまで善良でいられるのか」というテーマは、今もなお私たちに問いかけを続け、観る者に深い感慨を与えます。
上演台本・演出 白井晃 コメント
80年前に初演されたブレヒトの名作を、今を生きる私たちの物語にしたいという一心で稽古に励んできました。
キャストの皆さん、そして、スタッフの皆さんの頑張りで、素晴らしい初日を迎えられました。シェン・テとシュイ・タという二役を見事に演じてくれた葵わかなさんには感服します。
この作品は、観客の皆さんと共に作る舞台です。演劇が持つ力をもう一度信じることができる、そんな作品ではないかと思います。
これは私の実感です。
どうぞ、劇場に足を運んで頂き、一緒にこの作品の良い結末を見い出して頂ければと思います。
ご来場を心からお持ちしています。
キャストコメント
▼出演・葵わかな
無事に初日を迎えることができました。 やらなければならない事や伝えたい事がたくさんある中で、熱量と緊張感に満ちた良い初日でした。観客の皆さんが入る事で新しい形が見えたりして、ブレヒトが台本の中で常に観客を意識していたり、白井さんが演出の中で大切にされていた事が腑に落ちた瞬間がたくさんありました。これからの公演期間を通して、たくさんのことを感じていけるだろうと想像して、ワクワクしています。
また、挑戦的なものがたくさん詰まっている作品になったと思います。今回は初めての一人二役で、男性役も演じています。歩き方一つとっても演じ分けが難しいのですが、二役のキャラクターの差が出ることでさらに面白くなっていくに違いないと必死に稽古に臨んできました。
初日を迎え、お客様の前で演じられたことで、その思いが更に強くなりました。
稽古のスタート時点から白井さんや音楽監督の国広さんと一緒に話し合いながら一つ一つ積み上げてきましたが、これからも毎公演さらに高みを目指していきたいと思います。歌もたくさんありますし、ストーリーも分かり易いので、お客様に楽しんでいただける要素満載の舞台です。劇場でお待ちしております。
▼出演・木村達成
稽古場では和気あいあいとした雰囲気で、白井さんと僕たち役者の間でたくさん話をすることができて、そこで生まれたコミュニケーションが舞台上にも反映されていると思います。
白井さんとご一緒するのは3回目になります。他の作品に出演する時も、白井さんに言っていただいたことを自分に言い聞かせてきました。今回は昔と同じダメ出しをいただかないように心がけていて、ふとした時に癖が出てしまうことはありましたが、役者としてもっと次のステージにいけるよう頑張ってきました。
僕が演じるヤン・スンは、この作品の中で唯一自分の目標にまっすぐ走っていく素直な男です。『セツアンの善人』が持つ独特な怖さのようなものを伝えられたらと思っています。僕にとっては一年ぶりの舞台作品。多くのお客様に観て頂けたら嬉しいです。
『セツアンの善人』は東京公演が2024年11月4日まで、兵庫公演は11月9日から10日まで開催されます。豊かな音楽と演出、豪華キャストによる舞台が、多くの観客を魅了し、深く考えさせること間違いなしです。
公演情報
『セツアンの善人』
作:ベルトルト・ブレヒト
音楽:パウル・デッサウ 翻訳:酒寄進一(新訳)
上演台本・演出:白井晃 音楽監督:国広和毅
葵わかな 木村達成 渡部豪太 七瀬なつみ あめくみちこ
小林勝也 松澤一之 小宮孝泰 ラサール石井 ほか
【東京公演】2024年10月16日(水)~11月4日(月・休)世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2024年11月9日(土)~11月10日(日)兵庫県立芸術文化センター
主催:公益財団法人せたがや文化財団 企画制作:世田谷パブリックシアター 後援:世田谷区









