
櫻坂46の15th Double A-side Single『Lonesome rabbit / What's “KAZOKU”?』の“BACKSメンバー”による単独ライブ『15th Single BACKS LIVE!!』が、9月29〜30日に東京・TOYOTA ARENA TOKYOで実施された。櫻坂46が『BACKS LIVE!!』を実施するのは、今年5月に千葉・幕張メッセ イベントホールで行った『14th Single BACKS LIVE!!』以来4ヶ月ぶり。今回はBACKSセンターを務める三期生・遠藤理子をはじめとする、二期生から四期生までの計15名でステージに臨み、日々新陳代謝を繰り返すグループの新たな未来を示すようなステージを展開。30日公演では『増本綺良 卒業セレモニー』も開催され、会場に訪れたBuddies(櫻坂46ファン)はもちろんのこと、2公演ともインターネット生配信も行われたことで、画面越しでも多くのBuddiesが彼女たちの全身全霊のパフォーマンスを目に焼き付けた。
この日の開演前影ナレを務めたのは増本と大沼晶保。大沼が「綺良ちゃん、調子はどう?」と尋ねると、増本が「めちゃくちゃいいです。Buddiesもそうですよね?」と返すなどのやり取りを重ね、最後に2人が「最高にキラキラの夜にしようね!」と呼びかけると会場は早くも熱気が高まっていく。
「Overture」に続いて、荘厳なSEに導かれるように遠藤理子がひとり姿を現し、赤く染まった月を背にダイナミックなソロダンスを披露。その後、ほかのメンバーが合流すると、狼の遠吠えを合図にライブ初披露の「狼たちよ」にて公演をスタートさせる。センターの遠藤を中心としたシャープさと華やかさを併せ持つパフォーマンスと、オーディエンスによる〈Woh-Oh-Oh, Oh-Oh-Oh〉のシンガロングで一体感作り上げると、フロアの熱量は早くも急加速。円形を保ちながら魅せるダンストラックを挟んで「ドライフルーツ」へと繋げると、前回の『BACKS LIVE!!』で座長を務めた村山美羽をセンターに迎え、歌やダンスのみならず表情や細かな仕草でも観る者を惹きつけていく。
2曲終えたところでこの日最初のMCに入ると、勝又春が「リハ期間も後輩を気にかけてくださいましたし、パフォーマンスで引っ張ってくださった」と座長の遠藤へ対する労いの言葉を送る。一方で幸阪茉里乃は「まだ始まったばかりなんですけど、パフォーマンスに集中してても皆さんの声がすごく聞こえてきて。」、中嶋優月は「今の自分の想いや気持ちを今日のライブでぶつけようと決めて、その覚悟を持って活動してきました!私たちの燃えたぎる熱についてこれますか?」とそれぞれの形でBuddiesを煽ってみせる。
そんな熱気に包まれる中、ライブは幸阪がセンターに立つ「ソニア」がスタート。クールな序盤2曲から一変、幸阪の柔らかな表情とともに会場にはポジティブな空気が充満していく。「19歳のガレット」ではセンターの勝又を筆頭に、アリーナ中央に延びる花道に散ったメンバーがピースフルな世界を構築。続く「確信的クロワッサン」ではセンターを増本が務め、Buddiesのコールも一段と大きくなり、盛り上がりは一気に加速する。
神秘的なSEに合わせて、スクリーンに花火が打ち上がる夜空の映像が投影されると、ライブは「無言の宇宙」にて空気が一変。ドラマチックなサウンドに乗せて、中嶋をはじめとするメンバーが切なくも情熱的な歌声を響かせる。また、青い月を背に披露される「ブルームーンキス」では、センターの松本和子がサビ前に放つセリフに客席からは大歓声が湧き上がるなど、最高の熱量の中でライブは中盤戦に突入していった。
ジャジーなSEに乗せて、ステージにひとり登場した目黒陽色が大人びたダンスを披露すると、続いて遠藤理子、幸阪が花道に設置されたソファーを用いたソロダンスをそれぞれ展開。その流れから「ジャマイカビール」に突入すると、高い表現力が求められるこの曲を四期生の目黒が牽引しながらパフォーマンスしてみせる。
続いて、メンバー5人のシルエットが浮かび上がると、遠藤光莉を中心に増本、小田倉麗奈、稲熊ひな、勝又がそれぞれ豪快なソロダンスで観客を惹きつけ、「Don't cut in line!」へと繋げる。クールな世界観が求められるこのユニット曲を通じて、個々の成長を感じさせるステージを提示。
その後、ステージ上に5枚の扉が用意されると、グレーチェック柄の衣装からロイヤルブルーとオレンジの新衣装に着替えたメンバー7人が、扉を通じて次々に入れ替わりながらダンスを披露。最後に大沼が登場し勇ましいソロダンスで魅了すると、彼女のノックする仕草を合図に「断絶」が始まる。力強さの中に繊細さも求められるこの曲を、大沼を中心に遠藤理子、中嶋、村山、佐藤愛桜、松本、山田桃実が息の合ったパフォーマンスで見事に表現した。
メンバーのナレーションを導入に「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」が始まると、遠藤理子を筆頭に爆発力の強い歌とダンスでオーディエンスを圧倒。メンバーが遠藤理子に糸を絡ませていくお馴染みの演出もフィーチャーされ、曲後半で遠藤理子が花道へ向けて駆け出すとBuddiesの盛り上がりも沸点へと近づく。この熱を引き継ぐように始まった「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」では、センターの稲熊が堂々とした姿で奮闘し、躍動感の強いダンスを丁寧に踊り切る。また、「夏の近道」ではグループ最年少の山田が弾けるような笑みを浮かべながら、全力さと爽快感を併せ持つパフォーマンスでBuddiesをノックアウトした。
ライブもいよいよ終盤戦へ。石森の「綺良さん、大好き!」を合図に、ライブを通じて大切に育ててきた「港区パセリ」が始まると、会場全体の熱気もさらに上昇。矢継ぎ早に投入された「I will be」では、センターの小田倉が力強い歌声を轟かせ、会場の空気を掌握する。さらに、ステージ後方に椅子が置かれると、Buddiesは次の曲が何なのか理解し、会場を大歓声で包み込む。すると、佐藤が姿を現し椅子に座ると、元々のセンターである卒業生・武元唯衣と同じポーズをとり、「油を注せ!」へと繋げる。豪快さとダイナミックさ求められるこの曲を、彼女らしい全力さで表現。間奏では長尺のダンスパートも用意され、先輩から継承した大切なポジションを見事に引き継いで見せた。
ライブ本編も終わりの時間が近づく。遠藤理子がしなやかさとたくましさが備わったソロダンスでBuddiesの目を奪うと、夏の全国ツアー『Sakurazaka46 ARENA TOUR 2026 -What's lonesome?-』を通じて育ててきた「コインランドリー」をドロップ。座長の遠藤を中心に、ステージ上の15人が全身全霊の歌とダンスでライブをクライマックスへと導く。
3曲目からノンストップで駆け抜けたライブ本編も、ついにフィナーレへ。佐藤や目黒、石森が座長の遠藤を労う言葉を送り、増本が「『BACKS LIVE!!』って継承されるもの」と伝えると、最後に遠藤が「私は常に等身大の自分で活動してきました。取り繕うことが苦手な一方で、すごく人目を気にしてしまう性格なので、自分の感情に嘘をつくことも多かったです」とこれまでを振り返る。
続けて「加入してすぐの合宿で、私は人生で初めて挫折を経験しました。ダメな部分を見せることが怖くて、苦手なことから逃げてきた人生だったので、何もできずにただ泣くことしかできない自分がカッコ悪くて仕方がなかったです。でも、その合宿で私は初めて家族以外の人に感情をさらけ出して、自分と向き合うことができました」と伝え、「Buddiesの皆さんがありのままの私を受け入れてくれたように、私たち櫻坂 46というグループが皆さんの居場所になることができていたら、すごく嬉しいです。これからも皆さんに寄り添うことのできるグループ、そしてアイドルでいることを約束させてください」と決意を口にすると、会場は温かな拍手で包まれる。その流れから、最後に「I'm in」にて会場がひとつになったところでライブ本編はフィナーレを迎えた。
会場がBuddiesの「きらこコール」と彼女のペンライトカラーであるオレンジで包み込まれると、いよいよ「増本綺良 卒業セレモニー」が始まる。オレンジ色のドレスにティアラを着用した増本がステージに登場すると、「いざここに立って何を話そうかなとたくさん考えたんですけど、自分のことになると何も思い浮かばなくて。今日は楽しく話そうかなと思います」と彼女らしいマイペースぶりで自身の思いを伝えていく。
「最近『あなた本当にいなくなるの?』ってよく言われるんですけど、皆さんもそんな感じの気持ちですか? そうなんですね。狙い通りです。寂しいなって思わせてしまっているかもしれないんですけど、寂しいモードにあまりしたくなくて。それは皆さんの笑顔が好きだからなんです」と彼女らしい言葉で進行する卒業メッセージの中では、ここまで育ててくれた父親、何度も諦めかけたときに前を向かせてくれたBuddiesやメンバー、スタッフといった周りの人たちへの感謝を伝える場面もあり、「オーディションからの8年間、自分1人の力ではここまで来れなかったと思います。どんなときでも一緒に歩いてくださった皆さんがいたから、私は今ここに立っています。これからは自分の力で歩いていくことにはなるんですけど、皆さんと過ごしてきた時間が背中を押してくれるんだろうなと思います」と告げ、「坂道研修生、そして欅坂46、櫻坂46として過ごしてきた8年間は、どれも私の大切な、大切な宝物です」と笑顔でスピーチを締め括った。
その後、ステージ上に同期メンバー全員がサプライズで登場。山﨑天の「私、綺良ちゃんと最初に話した人なんですよ。オーディションで番号が隣だったんですけど、こんなに面白い人が世界にはいるんだと、今日までずっと楽しませてくれました」を筆頭に、遠藤光莉や藤吉夏鈴、大園玲が増本との思い出を振り返ると、「メンバーと目が合わせる瞬間が多くて、とっても大好きな曲でした」のメッセージとともに「思ったよりも寂しくない」を二期生のみでパフォーマンスしてみせる。
さらに、ステージ上に二期生から四期生までの全メンバーが勢揃いすると、「この曲は尊敬する先輩の最後の1曲でした。勝手ながら歌い継ぎたいなと、あの頃から思っていました。あの頃からすごく成長して、(自分が)見送られる側になって感慨深いです」とのメッセージとともに、彼女の尊敬する先輩である一期生・菅井友香が卒業の際に歌った「その日まで」を全員で歌唱。曲中には増本がメンバー1人ひとりと考案した動きも交えたほか、「メンバーのみんな、スタッフの皆さん、そしてBuddiesの皆さん。こんなにもたくさんの人間がいる世の中で、私という人間に出会ってくれてありがとうございました。ずっと忘れないでください」と思いを吐露する一幕もあった。
いよいよ本当に最後の時間が近づく。“アイドル増本綺良”が最後に披露したのは、自身がセンターを務める「コンビナート」。この曲では増本がトロッコに乗って、客席にハンドキャノンでサインボールを打ち込み、Buddiesに笑顔を振り撒く場面も用意。彼女がアリーナを1周してステージに戻ると、メンバーから増本へ1輪の花とメッセージが贈られる。それまで終始笑顔だった見送る側のメンバーも、ここでは涙をにじませながら増本への感謝と今後へのエールを届けていく。中でも、幸阪は“最初で最後”と添えて、自身の思いを綴った手紙を読み上げ、幸阪が感極まると増本が茶々を入れるなど、実に彼女たちらしいやり取りも見られた。
メンバーからの愛を受け取ると、増本は「こういう機会でもないと大好きと言い合うこともないので、最後の醍醐味ですね。皆さんからたくさん愛をもらったので、これからも歩いていけそうです」とポジティブな言葉を口にして、約3時間におよぶ『15th Single BACKS LIVE!!』および『増本綺良 卒業セレモニー』を完遂。最後には、会場のBuddiesが「8年間キラキラな日々をありがとう!」と書かれたメッセージシートを掲げるサプライズもあり、増本は「最高に楽しかったです。アイドルになってよかったです! バイバイ!」と笑顔でステージを去っていった。
公演中、キャプテンの松田里奈も言ったように、「本当に唯一無二の存在で、予測不能な面白い言動でたくさんの人を笑顔にする一方、誰かに届ける言葉はまっすぐで、その人のことをちゃんと見てないと出てこない言葉ばかり」だったのが増本綺良だった。その彼女がグループの残した功績とともに、櫻坂46はこれからも進化しながら前進を続けていく。
(文/西廣智一)
セットリスト
M0, Overture
M1. 狼たちよ
M2. ドライフルーツ
M3. ソニア
M4. 19歳のガレット
M5. 確信的クロワッサン
M6. 無言の宇宙
M7. ブルームーンキス
M8. ジャマイカビール
M9. Don't cut in line!
M10. 断絶
M11. なぜ 恋をして来なかったんだろう?
M12. 何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう
M13. 夏の近道
M14. 港区パセリ
M15. I will be
M16. 油を注せ!
M17. コインランドリー
M18. I'm in
増本綺良 卒業セレモニー
M19. 思ったよりも寂しくない
M20. その日まで
M21. コンビナート




































