4月22日、スカイピースが初の日本武道館公演「SkyPeace Festival in 日本武道館」を開催した。コロナウイルス感染症拡大の影響で、2020年は予定していた横浜アリーナでの単独公演が中止となり、2021年7月に同会場より配信したライブも無観客につき、今回は、やっと実現した有観客初のアリーナ公演である。サーカスをテーマにしたステージは風船や三角旗がデコレーションされ、実に賑やか。約8000枚のチケットは即日完売し、客席は開演前から熱気にあふれていた。
オープニングはステージ中央のLEDにオープニング映像が流れるのだが、そのLEDがど真ん中から左右にわかれ、テオくんと☆イニ☆(じん)が登場。拳をあげるふたりに、客席を埋め尽くしたカラフルなペンライトが揺れ、「証明」でスタートした。曲おわりに「僕らは命をかけて武道館に臨んできました。だから、その目で、その耳で、その体で、その心で、全てを感じろ!」と☆イニ☆。「悪いが中二病が世界を救う」へとなだれ込み、2017年に発表した「100年後も忘れないライブを」でライブに参加する心得として、おもしろく歌うのだが、とにかくライブ(=今)を楽しもうと、歌もダンスも全力で伝えてくる。
「来たぞ、武道館!」とふたり。マイクなしの生声で「どうもぉ~スカイピース!Yeah!!」といつもの挨拶をしたあと、まずはステージからの景色を実感しようとする。(コロナ禍の制限により)声援を送れない客席に向かって、「(会場)デケー。すっごい人だけど、めっちゃ見えてます!」と声をかけ、体をほぐしましょうとジャンプの練習をさせる。「SkyPeaceのテーマソング」では、実際みんな高くジャンプし、会場が熱くなる。ロックサウンドの「雨が降るから虹が出る」は力強く響き渡り、ラストのサビでは向かい合って歌うシーンも。「青春スプラッシュ」ではタオルを振り回しながら、どんどん勢いを増していくのだが、「激しかったね(テオくん)」「全力出しすぎた(☆イニ☆)」と吐露してしまうほど、フルテンのふたり。この日のセットリストはメジャーデビュー前から作っていた曲もセレクトするなど、スカイピースの現時点での集大成的なライブだというが、会場を楽しませたい一心で、体力のことを考えていなかったセットリストだという。
ギター、ベース、ドラムのバンドアレンジで、練習のときからずっと刺激的だったというが、「無計画の旅」「荒野行動あるある」と多彩な楽曲を披露していく。そして、「おバカだっていいじゃないか」ではスカイピース初だという、トロッコに乗って、「みんなのもとに向かいたいと思います」とそれぞれ会場の左右にわかれ、アリーナ中央まで移動する場面も。ステージに戻るや、ステージ前面に18連設置されたスパークラー(噴き出し花火)で、アリーナ公演ならではのど派手な演出が次々と仕掛けられる。
スカイピースでは珍しいというバラード曲「これがぼくのきもち」で聴かせるシーンもあったが、☆イニ☆がタイトルコールを間違え、感動と笑いが入り混じった貴重なシーンとなったのが「相棒」と「22歳の僕が母に贈った歌」。
大工をやっていたテオくんと専門学生で不動産会社に就職が決まっていた☆イニ☆のふたりが出会ってスカイピースになった、ふたりの原点を思い起こすように、お互いを思って作ったという「相棒」を披露する。さらに、「22歳の僕が母に贈った歌」ではふたりが母親への思いを話し出す。
「お母さんと俺の考えって真逆だったりして、いつも言葉をかけてくれるんだけど、正直本当かなって思うことがあって。笑顔でいると返ってくるよとか、それ根拠あるのかな? とかって思っていたけど、そういうお母さんの言葉が大人になってわかるようになって、何一つ間違っていなかったんだなって。僕はそんなことを曲に書きました」と☆イニ☆。
さらに、テオくんは「僕は母子家庭で、仕事も大変だから週に1回会えるか会えないかくらいだったんですけど、そんな状況でも誕生日に小さなケーキを買ってきてくれたことが本当にうれしくて。この話は、歌う前にいつも話すんですけど、それくらい自分の中では大切な出来事で。今、「テオくんいい人」「明るくて優しい」とか言われるけれど、これはママからもらった優しさです。僕もいつか返したいと思います。ここまで育ててくれてありがとう!」。アコギだけの演奏に合わせて、ふたりの思いが綴られる、心を打つシーンだった。
一転。少しの映像インターバルをはさみ、会場はダンスフロアに来たかのようにダークで妖艶な雰囲気となり、素肌にジャケットを羽織ったふたりが登場。「関西コレクション 2022S/S」でも話題になった「Sexy Dance FLOOR」では、テオくんの低音ボイスと☆イニ☆の高音が掛け合い、クールに披露するのだが、炎もあがりまくる。さらにEDMナンバー「THE STAGE」へ。レーザーもバキバキにクロスし、本編ラストのダンスナンバー「オタパリダンシン」まで盛り上げ、みんな体を動かし、クラップして楽しんだ。
アンコールは、歌ってみた(ではなく、歌ってみなかった)「グッバイ宣言」でダンスを披露し、ラストは「オタパリパーティー」。「ジャンプして汗かいて楽しかったと思って返ってほしい」とテオくん。ミラーボール、そして総勢24人のダンサーが登場し、スカイピースのふたりは赤と青のキラキラの衣装に変わり、全力でステップを踏む。最後は「スカイピースと出会ってくれて、ここに来てくれてありがとう」と☆イニ☆は涙を浮かべ、テオくんは今日いちの笑顔を見せた。
スカイピースは、YouTubeチャンネル登録者数454万人というコンビYouTuberとして日本一の記録を持つが、音楽活動も作詞をはじめ楽曲制作にも真剣に取り組んできた。とりわけ、今年の3月は全国5都市で開催したファンクラブツアー「SSS 2022」とYouTubeチャンネルの毎日投稿を同時進行するなど多忙を極めていたなかで、ツアー最終日となる4月10日のZepp Fukuokaを終え、今回の日本武道館公演まで駆け抜けた。彼ら自身、不安も抱えていた中で、プレッシャーを跳ねのけ、アンコール含め全20曲を全力で完走。見事な大団円だった。
ライブ終了後、7月27日に発売される4枚目のアルバムタイトルが『Grateful For 』であること、さらに、全国7都市8公演を廻るホールツアー『Grateful For 』の開催も発表され、改めて会場を熱気と期待で満たしていた。
関連画像
4月22日(金)「SkyPeace Festival in 日本武道館」
セットリスト
M-1 証明
M-2 悪いが中二病が世界を救う
M-3 100年後も忘れないライブを
M-4 スカイピースのテーマソング
M-5 雨が降るから虹が出る
M-6 青春スプラッシュ
M-7 無計画の旅
M-8 荒野行動あるある
M-9 おバカだっていいじゃないか
M-10 これがぼくのきもち
M-11 僕の夏の恋の話
M-12 相棒
M-13 22歳の僕が母に贈った歌
M-14 Sexy Dance FLOOR
M-15 THE STAGE
M-16 スタートダッシュ
M-17 オタパリダンシン
Encore
EN-1 グッバイ宣言
EN-2 Enjoy Summer
EN-3 オタパリパーティー