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INORAN、約2年ぶりの有観客ライヴ「INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK’N ROLL」が遂にスタート!! コロナ禍での制約を乗り越え、オーディエンスと共に創り上げた熱きロックンロール・ショウの初日をリポート!!

INORAN

Photos by 田辺佳子

9月23日、INORAN(LUNA SEA)が、5日間10公演を連続して行うライヴ企画「INORAN -TOKYO 5 NIGHTS- BACK TO THE ROCK’N ROLL」をスタートさせた。この企画は本来2020年の同時期に「INORAN 50TH ANNIVERSARY BASH! -TOKYO 5 NIGHTS -」として予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みて延期となり、晴れて1年後に開催に漕ぎつけた経緯がある。INORANバンドの4人が集まり、有観客でライヴを繰り広げるのは約2年ぶり。声援を送ることが禁じられ、シンガロングも当然できないといった様々な制約はあるものの、1st 、2nd Stage共にオーディエンスの内なる熱量を極限まで高めるようなロックンロール・ショウを繰り広げた。

LIQUIDROOM ebisuのフロアには整然と椅子が並べられ、ライヴハウスとしては異例の光景。観客はルールを守り、会話を控えて静かに開演待機。Yukio Murata(Gt)、u:zo(Ba)、RYO YAMAGATA(Dr)に続き、INORANが手を叩きながら軽やかな足取りで姿を現すと、客席からの拍手はひときわ大きくなる。1曲目の一音目が鳴った瞬間、オーディエンスが色めき立った気配を肌で感じる。4人が鳴らす大きな音、凄まじい振動、生み出されるグルーヴを全身で受け止めながら、ライヴハウスの醍醐味を痛感。INORANはメンバーと顔を見合わせて弾けるような笑顔を見せ、心底うれしそうに歌い、ギターを鳴らしていた。

これからご覧になる方のためにネタバレは極力回避するが、まずは、1stと2ndのセットリストが全く異なっていることに驚いた。いずれも約1時間のショウであり、各回11曲のうち共通していたのは2曲のみである。また、久しぶりの披露となるレア曲も多く、全く予測不可能、かつ非常に丁寧に練り上げられた、充実のメニューとなっている。

1st、2nd共通して披露され、そこに吹く風を五感で味わっているようなINORANの満たされた表情が印象的だった「Beautiful Now」は、ゆったりとしたテンポ感と大きなうねりを感じさせるグルーヴが至福。ステージのライトで観客の姿が黄金色に輝き、会場全体が大きな光の中に包まれているような光景は、かつて何の制約もなくライヴを楽しんでいた頃となんら変わりない美しさで切なくもあり、胸を打たれた。例えば、1stの「raize」では<諦めず 信じて走ろう>という歌詞に心揺さぶられるなど、既存の曲に新たな意味が加わって聞こえる瞬間も多々あった。ファンとのコール&レスポンスやシンガロングを求めることができない代わりに、u:zoはコーラスに一層力を込め、MurataもRYOも共に歌っていた。声に代わる感情表現として、オーディエンスは熱のこもった拍手やクラップを惜しみなく送り続け、ステージへ捧げるように伸ばす手の動きからはエネルギーが迸る。INORANが「声とか出せなくても、聞こえる。『皆が歌ってる』と思っちゃった」と語った通り、ライヴが進むにつれ、ファンの心の声がありありと聞こえてくるような、不思議な感覚に包まれていった。

MCでINORANは、延期の果てに開催というプロセスを振り返り、「ちょうど1年後にこうして迎えられたことが、とてもとても尊いですね」と感慨深そうに語った。コロナの話題を避けては通れないものの、ネガティヴな言葉選びを極力避け、想いを伝えようとするINORAN。「去年の今頃、『どうなっちゃうんだろう?』って思ってた。でも『希望を持って生きよう』って、ある時思って」「この4人で、このチームINORANでライヴをできるように…できるだけ早くできるようにって、いつもいつも願ってました」と心情を吐露する。「ミュージシャンとしてはいろんな立ち位置があると思うんですけど…この4人で絶対に絶対に、絶対にやってやる!って」と決意していたそうで、「そこに皆がいてくれることが、どれだけ尊い時間なんだろうって」とファンの存在にも言及。「河村隆一(LUNA SEAのVocal)の真似するわけじゃないけど(笑)、来てくれた皆に、心から“I for You”」とコメント、全国ツアーを果敢に開催中であるLUNA SEAの、良好なバンドの状況を伺わせるジョークで笑わせた(※実際に笑い声をあげることはできなかったが…)。そして何度も、様々な表現で感謝の想いを繰り返し述べていた。

“味変(あじへん)”と称したユニークな試みでは、INORANはマイクから離れ、ギタープレイに専念。遊び心を感じさせる意表を突いたコーナーで、INORANバンドの秘めたるポテンシャルを発揮した。INORANの感性が反映されたメロディアスな楽曲群はもちろん素晴らしいのだが、このバンドの凄みを強烈に感じるのは、歌の無いセッションパートであったりする。血の通った重厚なビートを繰り出すRYO(このライヴのために遥々フランスから帰国)、静けさと狂気の両極を飄々と行き来するMurata、ファンキーな味わいのグルーヴを生み出すu:zo。強烈な個性の持ち主が集まって、生きた音楽、ロックンロールを高らかに鳴らす。固い絆で結ばれた4人の音と音とのぶつかり合いは、やはりライヴハウスで直に体感すると格別の心地良さなのだった。

ライヴ全編にわたりINORANはギターを搔きならしながら歌い、ジャンプし、ターンし、ステージを右へ左へとアクティヴに行き来。様々なリズムのクラップを自ら生み出してファンを先導し、ボクサーがパンチを繰り出すような動きをしたり、繊細な指の動きでエモーションを雄弁に物語ったりもして、全身を用いて表情豊かにパフォーマンスしていた。1st Stageで、「みんなの顔がよく見えて、みんなから飛んでくる眼力は、こうやってライヴをやっていた当時と全然変わらなくて。また希望が芽生えました」としみじみ。それは事前に用意したセリフではなく、ステージに実際に立ってみて実感することを素直に言葉にしていることが分かる、生きた言葉だった。2ndの終盤、「あと8公演あります…!」と腕を突き上げ、「今のは、苦しいとか辛いとか、苦しみの顔じゃなくて、楽しみの顔です(笑)」ともコメント。「来てくれる人にも感謝だし、来られない人にも感謝だし、納得できるし」とファン各自の事情に想いを馳せ、慈しみ深い言葉を送った。

1stのラスト、「皆で音を出して思うのは…諦めることも多いかもしれないけど、全て諦める必要はないから。絶対に一つや二つ、そして絞られた中に一番大切なものが実はあったと思う」「尊いものに感謝しながら僕は生きていくつもりだし、希望、目標を、僕らのバンドサウンで、ロックンロールで、これからも出し続けていくので。皆さん、明日からもものすごく頑張りましょうね!」との言葉から感じられたのは、絵空事ではない、リアルな救いだった。また2nd では「とんでもない世の中になっちまったな(笑)!」とユーモラスに語り出し、「また4人でこうやって会えるのがうれしくて。いろんなアルバムを出したけど(※2020年9月リリースの『Libertine Dreams』、2021年2月の『Between The World And Me』をステイホーム期間に生み出し、INORAN一人で全作曲・演奏を担った)、この4人、ロックバンド、バンドサウンドを忘れてなくて」と秘めていた想いを明かした。今回のライヴを4人で行うにあたり、過去の作品やライヴDVDを観返したと言い、「『この頃に戻りたいな』とかじゃなくて、『この4人で絶対にまたワールドツアーやるぞ!』とか、『絶対全国ツアーやるぞ!』とか、『東京でめちゃくちゃライヴやるぞ!』とか。その布石を投下しにきたつもりです」と宣言。不屈の姿勢を示した。

世界が一変した2020年初頭以降、INORANは音楽の歩みを止めることなく、精力的に曲を生み出し、世に送り出してきた。そして、配信ライヴではオンラインならではの魅せ方をしっかりと編み出し、届けてもきた。しかし今回、4人が集まり、オーディエンスの眼差しと想いを受け止めながら繰り広げたステージは、生の音楽体験の尊さ、替えの効かなさを痛烈に思い起こさせた。残す8公演でセットリストに更なる変化があるのかは未知数だが、1stと2ndを通して観れば、かなりの楽曲ヴァリエーションを楽しめることは間違いないだろう。かつ、1stだけ、2ndだけでももちろん充分に楽しめる内容となっている。誰もが何の制約も無くライヴを楽しめる日はまだ遠いかもしれないが、この企画は、魅力的な選択肢をファンに提示した画期的な試みではないだろうか? 音楽の灯を消さないよう、ロックンロールを鳴らし続けるINORANのスタンスは尊い。そう思わせる初日公演だった。

(取材・文/大前多恵)

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