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眩暈SIREN、2年ぶりのツアー終着点で叫んだ願い「あなたは幸せになれると信じたい」

撮影:かわどう

眩暈SIRENが8月16日に大阪・BIGCATで、『眩暈SIREN TOUR -相対的距離感についての稚拙な思案-』ファイナル公演を開催した。

同ツアーは当初、4月29日に愛知・名古屋ElectricLadyLand、5月8日に東京・品川ステラボール、5月23日に大阪・BIGCATにて開催される予定であったが、緊急事態宣言の発出により東阪2公演が延期に。7月17日に東京、8月16日に大阪で、それぞれ振替公演が開催された。

ガイドラインに沿った感染対策のもと、全席指定の有観客ライブとして実施されたこの日は、ウル(P,Vo)の美しいピアノの調べに導かれ「眩暈SIRENです、今日はよろしくお願いします」(Vo / 京寺、以下同)とだけ告げた1曲目の「image _____」から、NARA(Dr)の壮絶なドラミングと共に静かなる情熱を秘めた轟音が一瞬で会場を包囲。メンバーの背にある巨大なスクリーンに次々と映し出される映像が感情を高ぶらせ、変幻自在のフレージングで魅せるオオサワレイ(Gt)のギター、タイトなビートでバンドの屋台骨を支える森田康介(Ba)のベースラインが、続く「囚人のジレンマ」でもその機能を存分に発揮。京寺は黒いフードからのぞく白金色の髪をなびかせ、「HAKU」でもはかない歌声を響かせる。

「自分は不幸な人間だなんて、誰にも理解されないだなんて、そんなことは当たり前のことだと考えてはみなかったのか」

一見、絶望的にすら感じる言葉に添えて、「クオリア」ではすさまじいフラッシュライトをかいくぐり、闇の中にあるほんの一閃の光を歌う。極彩色の照明と目まぐるしく変わりゆく映像が楽曲のドラマを際立たせた「夕立ち」でも、座したまま拳を握り締めステージに惹きつけられるオーディエンスを前に、一心に己の音を鳴らし続ける5人。ライブとして安易にイメージされる熱狂はここにはない。だが、「偽物の宴」「紫陽花」と立て続ける光景には、ここにしかない没頭と刺激、そして浄化がある。背中を押すのではなく隣にいるような眩暈SIRENの世界観に、気付けば心地良く引きずり込まれている。

「今日は大変な中、来てくださりありがとうございます。いつまで暗闇の中、あがき続けねばいけないのだろうかと。いつまでこんな毎日を送れば良いのかと。確かなものがつかめないまま日々を送っている。死のうと思った夜、その次の日もまた目が覚めている。そんな毎日の積み重ねこそ、人生なのだと。そう思います」

そう語り始まったのは「九月一日」。子どもの自殺者が一年で最も多い夏休み明けの一日をタイトルに冠した楽曲が、問答無用に胸を締め付ける。誰もが言い当ててくれることはなかった心の深淵に触れるかのようなこの一曲に出会い、魂を震わせた人が今までにいったいどれだけいたことだろう。

「何気なく過ぎていく一日が、特に何かあるわけでもなく、特別な日でもないそんな日々が、惰性と共に過ぎ去っていくのが、とても怖いです。今日は大切な日になるでしょうか? いつか自分の最後が来るときに、過ぎ去ってしまった日々が大切だったと、そう思える日が来るでしょうか? 死にたいと言う人たちがいることを、いつも怖く思います。そのとき、確かにあなたの心は死んでしまったのだと、自分の知らないところで、人知れず死んでいくあなたがいるのだと、想像すると人生が嫌になる。だからどうかお願いします。今じゃなくても、いつかは……あなたは幸せになれると、自分は信じたいです。あなたにも信じてほしい。無責任なことを言いますけど、何の根拠もないけれど、ただ自分がそう信じたいのです」

自らの切なる想いを吐露し京寺が歌い上げた「明滅する」に、思わず胸が熱くなる。続く「結末は日暮れの矛盾」は分厚いサウンドウォールと軽やかなメロディが共存。眩暈SIRENの持ち前のポップネスと一曲一曲がMVさながらの映像美の総攻撃で、ライブはいよいよクライマックスへ。

「今まで聴いてくださって、最後までそこにいてくれてありがとうございます。誰かと想いをぶつけ合うくらいなら、自分を殺した方がマシだと思っていた。誰かを傷つけるくらいなら、黙って笑っていた方がずっとマシだと思っていたんだ~」とイントロから身を切るような叫びを爆発させた「故に枯れる」、その生命を燃やし尽くすほどの疾走感で駆け抜けた「ジェンガ」と畳み掛け、最後までドラマチックでエモーショナルなライブでツアーファイナルを締めくくった眩暈SIRENだった。

なお、今後の眩暈SIRENは、両A面シングル(タイトル未定)及び、約5年半ぶり、2019年のメジャー移籍後初となるフルアルバム『喪失』を今冬同時リリースする。

取材・文:奥“ボウイ”昌史 撮影:かわどう

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