eill、3月21日(日)に東京・渋谷WWW Xにて開催した「eill the show 2021」のオフィシャルライブレポートが到着!

eill

Photo by 吉場正和

3月21日(日)、渋谷WWW Xにて、eillがワンマンライブ「eill the show 2021」を開催した。この日は北海道から九州までの広範囲で雨が降り、渋谷の歩道では傘がひっくり返っている人が散見されるほどの荒天。そんな中でも、eillの音楽を生で浴びようとするファンが全国から駆けつけた。チケットはソールドアウト。

開演の合図として会場のライトが落ちると、まずバンドメンバー(Gt. サトウカツシロ、Key. 宮田'レフティ'リョウ、Ba. 越智俊介、Dr. 菅野颯)がステージに登場。そして真っ暗な空間で、まだeillの姿も見えない中、彼女の声だけがアカペラで響き渡るという斬新な演出で幕が開けた。オーディエンスの期待感と集中力が高まっている状態で、<誰かのステップで 決まったリズムで 踊らせないで>と「踊らせないで」を丁寧に歌い上げる。その歌は、約2週間後、ついにメジャーデビューをすることになるeillが、これからも型にハマることなく自由にeillの音楽を貫いていくことを高らかに宣言しているようにも聴こえた。

2曲目「FUTURE WAVE」ではステージ上にいるeillとバンドメンバーがジャンプしてお客さんもビートに乗り、続く「HUSH」ではみんなの腕が上がる。今は新型コロナウイルスの影響でどうしてもライブには様々な制限がつきまとってしまうが、それでも、人間が音を鳴らして、それを直接浴びることで身体が自然と動いてしまう快感を、ライブ開始から10分の段階ですでに存分に思い出させてくれた。

20歳のeillが同世代へ贈るために書いた「20」を歌ったあとは、「Ma boy」、「Fly me 2」、「Succubus (Remix)」、「Into your dream」をメドレーのようにつなげて会場の景色を音でコロコロと塗り替えていく。中学生の頃は韓国でデビューすることを本気で夢見た程K-POPにのめり込み、同時にK-HIPHOP、R&B、モータウン、ジャズ、嵐やAKB 48など日本の流行歌にも触れながら生きてきたeillは、多彩なジャンルの要素を曲によって手法を変えながらアウトプットする。さらに、ルーツに根差しながらも、サウンドメイクやメロディへの日本語の乗せ方においては自由な発想で挑戦し続ける。しかし、どんなジャンルや挑戦的な手法であっても、eillの声でしっかりと「eill色」にまとめあげて統一感と自身の個性をハッキリと提示する。そんなeillの音楽は、日本、韓国、USなどあらゆる国とジャンルのヒットソングをYouTubeやストリーミングサービスで並列にして聴いている世代のリスナーの耳にフィットし、さらに飽きさせない魅力も持っているように思う。

そして、そんなeillの真骨頂とも言えるのが、4月9日(金)にリリースされるメジャーデビュー曲「ここで息をして」だ。この曲は、1曲の中でファンクからハードロック、ジャズ、ヒップホップなどのビートや音色がジェットコースターのように目まぐるしく通り過ぎていく。「ここで息をして」は、4月から放送されるアニメ「東京リベンジャーズ」(「週刊少年マガジン」で連載中。原作は「新宿スワン」などでも知られる和久井健)のエンディングテーマに決定しており、eillは初歌唱となるこの日、漫画にちなんで特攻服を着ながら歌い上げた。

次に歌った「FAKE LOVE/」も、「ここで息をして」と同じように、ただわきまえるだけではない女性像を体現している恋愛ソング。弱さや甘えたい素振りも見せるけど、圧倒的な強さとかっこよさも歌の中で示すeillは、世界中の女性たち(というか性別問わず)がBLACKPINKに憧れを抱く理由に通ずるものがある。そして「ここからは一緒に夜の街へドライブしましょう」という言葉とともに「((FULLMOON))」「Night D」を披露。続いて、ミニマルなビートとループするギターリフから壮大なサビへ広がっていく流れが最高に気持ちいい「この夜が明けるまで」に入り、夜のドライブゾーンを締めくくった。

ライブも終盤に差し掛かったタイミングで、昨年の緊急事態宣言中に曲が書けない苦しい期間を過ごし、それを経て生んだ名バラード「片っぽ」を、スポットライトの中でピアノ1本で弾き語り始める。普段ピアノから曲を作ることが多いというeillの歌と心が、何の装飾もなく丸裸の状態で届けられた。昨年2020年11月にリリースされたミニアルバム「LOVE/LIKE/HATE」完成時に「本当の自分をもっと見て欲しいという想いがあった」と語っていたeillの音楽と表現に対する向き合い方の変化が如実に表れているワンシーンだった。

本編は「SPOTLIGHT」で締めくくり、アンコールでは「special girl」、「2025」のワンコーラス、そして「MAKUAKE」を歌ってこの日のライブは終了。子どもの頃は身体が弱くて自己嫌悪も強かったeillが、音楽なら誰かを喜ばせたり恩返しできたりするかもしれないという想いを抱えながらこの道を歩み続け、ついにメジャーデビューという新たな幕開けに立った。eillはきっと、この先も音楽シーンにおいて新たなサウンドや歌の手法を提示しながら、どんどん自分のことを知って、さらに自分の深いところにあるものを音楽に昇華する方法も知って、より一層強固な表現を生み出していくアーティストになるだろう。「SPOTLIGHT」を歌う前にeillが届けた言葉には、なぜ彼女が音楽をやっているのか、その理由や原動力、そして、音楽を通してどんな自分と他者に出会いたいのかという想いが詰まっていた。このレポートを、その言葉で締めくくる。

「自分の夢とかやりたいことがなかった私が、今は誰かの心を私の声で照らしたいと本気で思ってる。そう思わせてくれたのは、ここにいるみんなです。ありがとう! 頑張れない自分に腹が立った。自分のことを大嫌いになる日もある。今もある。でもね、そんなダメな私でも、あなたでも、どうしたってこの人生の主人公なんだ。みんなの人生はあなただけのものってことを忘れないで欲しい。これから先、ひとりぼっちだって思ったとき、誰かに助けてもらいたいって思ったとき、前を向けなくなったとき、自分のことを信じられなくなったとき、そんなときはいつでも私に会いにきて欲しい。私を呼んで欲しい。イヤフォン越しでも、画面越しでも、こうやってライブでも、みんなの日々の中で私はいつもみんなのそばにいるよ。みんなのことを照らしてるよ。だから大丈夫。私はね、大きな世界を変えたいんじゃない。ここにいるみんなのこと、一人ひとりのことを照らしていきたいの。これから先も、ずっと、照らし続けます」

eillは4月9日(金)にTVアニメ『東京リベンジャーズ』のエンディング主題歌となる、メジャー1stデジタルシングル「ここで息をして」を配信リリースする。

Text by 矢島由佳子
Photo by 吉場正和

■■eill 「eill the show 2021」@渋谷WWW Xセットリスト

M1. 踊らせないで
M2. FUTURE WAVE
M3. HUSH
M4. 20
M5. Ma boy
M6. Fly me 2
M7. Succubus
M8. Into your dream
M9. ここで息をして
M10. FAKE LOVE/
M11. ((FULLMOON))
M12. Night D
M13. この夜が明けるまで
M14. 片っぽ
M15. SPOTLIGHT
EC1. 2025
EC2. MAKUAKE


リリース情報はこちら

タイトルとURLをコピーしました