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【ライブレポート】森高千里 「森高ソングベスト10」の1位は「この街」

森高千里

今回の森⾼の配信ライブは、ファンとの絆を⼤切にする彼⼥ならではの内容だった。

投票によりベスト10ソングを決定し、発表とともに歌うというのは、彼⼥⾃⾝もMCで述べたように、“ベタな企画”といえばそうだが、こんな正攻法が、素直に似合ってしまうのも森⾼なのだった。

ライブ会場は東京・丸の内の「コットン・クラブ」である。照明が落とされた客席のテ−ブルには、ランプが置かれている。ジャズ・クラブの⽇常の光景でもあるが、この⽇は無観客。その灯りには、ライブの再開を願うファンの気持ちが宿るかのようだった。

フラッシュ・ライトのなかのオ−プニングは鮮烈だった。やがて静⽌していた森⾼が動き出し、この⽇の趣旨説明。さっそく10位の発表へ。

これがデビュ−曲「NEWSEASON」だった。順当かもしれない。というのも、記念すべき曲が忘れられているのは寂しいし、
かといって、最上位であるならその後の成⻑が望めなかったみたいでこれまた寂しい。

歌い始めると、映像にはエフェクト処理が施され、“デジタルの紙吹雪”が舞った。配信ライブだからこそ許される表現領域への果敢なチャレンジが、早くも冒頭から⾒られた。

9位の「⼆⼈は恋⼈」は、ジワジワ好きになる⼈が多い曲。なお、彼⼥は⾃ら順位予想しつつ、適宜、⼨評を加えつつ進めていく。

8位は早くも「私の夏」だ。もっと上位を予想したが、この歌のテ−マは旅であり、この順位は気楽な旅⾏もままならない2020年の世相を反映したものとも解釈できるだろう。

7位の「気分爽快」と6位の「コンサ−トの夜」に関しては、今年、彼⼥のツア−が延期となり、“観たかったな−”“盛り上がりたかった!”という想いの反映でもありそうだ。

「気分爽快」では、客席へ降りて歌いかける彼⼥の姿があった。その瞳のなかには、そこに居るはずのファンの姿が、しっかり映っていたはずだ。

5位の「17才」では、この⽇の⾐装(本来なら今年のツア−でお披露⽬したもの)に、この曲の必需品たるフリフリのスカ−トを加えてのパフォ−マンスとなる。それがシックな⾊調であり、今回の配信ライブの「17才」は、⼤⼈っぽい印象であった。遺伝⼦の螺旋のような両脇の画像処理も曲にピッタリだ。

このあと、4位と3位にはバラ−ドが並んだ。

「⾬」と「渡良瀬橋」である。

セットリストを組む際、静かな曲をまとめるというのはよくやることだが、投票結果がそのように“気を回してくれた”かのようで興味深かった。

彼⼥はこの2曲を、⾔葉のひとつも疎かにせず、歌っていた。2位は彼⼥の代名詞ともいえる「私がオバさんになっても」。今回は無観客ゆえ、観客とのエネルギ−交換による⼀体感こそないものの、すっかりその表情は、ライブ・モ−ドそのものだ。

この時点で、1位が「この街」であることは多くの⼈達の知るところとなる。いつからか、“これをやらなきゃ彼⼥のライブは終われない”という雰囲気もあるし、この⽇の最後の歌唱にぴったりだった。森⾼は、⾃らのローカルに徹して“この街”への愛着を本作に描いた。

でもだからこそ、我々も⾃分にとってのそれを想起しやすいと⾔える。“みなさんにも故郷はありますよね”とか、表⾯的に歌われてもこうはならない。そして、⽣まれ故郷を想う気持ちが⼈から無くならない限り、この歌への熱い⽀持は続くのだ。

最後のほうのMCで、今回の投票結果も参考にしつつ、来年のツア−に活かしたいと話していた。次はぜひ、いや絶対、客席から森⾼ライブを満喫したいものだ。

エンドロ−ルで「むかしの⼈は・・・」とともに投票してくれた⼈達の名前が流された。

「むかしの⼈は・・・」でふと思ったが、彼⼥には票が集中する曲がある⼀⽅、少数意⾒に対応する個性的な曲も豊富に存在する。

今回の順位は当然でありつつ意外でもあったが、この10曲の外側にも、深淵なる森⾼ワ−ルドは広がっているということなのだ。

文:⼩貫信昭

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